第70話  遅いよ

ユキヒロが時間を見ると「やばい。もう迎えの約束の時間が過ぎた」と午後の17時過ぎにカズキの幼稚園に迎えに行った。

ユキヒロは車から降りて急いで幼稚園の窓を開けた。

幼稚園の先生のキョウコが「あれ?良かったね。迎えに来てくれて」と嬉しそうにして居た。

カズキが「とっくに皆、お迎え来ちゃったよ。残されたのは僕だけだよ」と機嫌が悪かった。

ユキヒロが「ごめんな。俺も大事な仕事があって、どうしても抜け出せなくてさ」とカズキに事情を話した。

カズキが「しょうがないな。それなら許してあげるよ」と仕方なくユキヒロを許した。

ユキヒロが「一緒に帰ろう」とカズキの手を握り、幼稚園を後にした。

家に帰ると仏壇の前でチーンと鐘を鳴らし、ユキヒロは「お母さん。今日は仕事を無事終えて、カズキを幼稚園へお迎えに行くことが出来ました。これもお母さんが守ってくれたおかげです。ありがとう」と伝えた。

カズキは「もう、お父さんは僕の事を迎えに行くのが約束の時間を過ぎて遅くなって迎えに来ました。でも、最終的に迎えに来てくれたので良かった」と半分笑顔で母のミミアに伝えた。

母のミミアの遺影が「良かったね」と言わんばかりの笑顔で、ユキヒロ達を見て居る様な気がした。

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