第56話 気になるあの人
カゲハが「おはよう。チナツ」と挨拶をした。
チナツは「ん?おはよう」とカゲハに挨拶を返した。
リョウタは一階でコーヒーを入れて飲んでいた。
気になって居たチナツの男の子が目の前に来ると、他の女の子たちが囲い「おはよう」と挨拶をする人たちでいっぱいだった。
リンカが「チナツ、おはよう」と挨拶をすると、チナツが「おはよー」と暗い顔をしてリンカを横目で見ていた。
リンカが「チナツ今日、今までよりも増して暗いよ」とチナツの顔を覗き込んだ。
リンカが「何があったの?良かったら話してみなよ」とチナツの背中を叩いた。
チナツが「私の気になる人の周りには女の子ばかりで入る隙が無いもの」といじけて居た。
リンカが「ああ、無理も無いわね?あいつ人気者だもの」とチナツの肩を持った。
チナツが「リンカ、あなただけよ。私の気持ちを解って来れる人は」と涙目になりながら訴えた。
その気になる人は、サダハルと言う男の子で周りには女の子が集まる人気者でチナツには遠い存在のように思えた。
そのサダハルが「ね?今、時間良いかな?」とチナツにこっそり聞きに行った。
チナツが「え?私で良いの?他の子は?」と左右に首を振り様子を伺って居た。
サダハルは「良いの。俺は、女の子にキャーキャーされるのが苦手でさ」とチナツに話し掛けた。
チナツはサダハルと二人きりになって、「ね?俺、前からチナツちゃんの事を好きだった」と急な告白をされて、サダハルの周りに居た女子達はガッカリしてその場を離れた。
そしてサダハルとチナツは、いつの間にか二人でテーマパークにデートをして2人の仲を深めて行った。
帰りが遅くなるとカゲハが「こんな夜までどこで遊んでいるの?今すぐ答えなさい」と玄関前で怒られる事も有った。
そんなチナツにサダハルが「今度一緒に旅行に行かないか?」とメールで尋ねて来た。
チナツは、サダハルの返事に「良いよ。行こう」とカゲハの事が尾を引いて居ていつも、何処かよそよそしかった。
サダハルが「何時も俺と居ると、チナツよそよそしいよな?そんなに俺と居てつまらない?」と気にかけてくれていた。
チナツが「あぁ、何時もお母さん夜になって帰って来るのが遅いとうるさいの。ごめんね」とサダハルに謝っていた。
その内にプルプルと言う携帯の音が鳴って、チナツに電話を掛けて来たのはカゲハで「どこで何をして居るの?早く帰って来なさいってあれ程言ったでしょう?」と言う電話がひっきりなしに掛かって来ていた。
サダハルが電話を替わり「あの、お母さんですか?俺はサダハルです。今、チナツちゃんと旅行しに来て居るに決まって居るじゃないですか?」と適当に話をはぐらかした。
カゲハが「誰?あなた。私の娘をたぶらかして居るの?」とサダハルに対しても喧嘩腰に話し掛けた。
チナツは「最低。私の母親に対してその口の利き方は無いと思う。私の事を心配してくれた母親に対して失礼よ」とサダハルの頬を叩いて電車に乗って帰って行ってしまった。
そして家に帰ってきたチナツは、「やっぱり、家が一番良いな」とベッドの上で寝ながらテレビを見ていた。
カゲハも「チナツが家に帰ってきてよかった」と安心していた。
その後父親の紹介で、仕事仲間のユウイチとチナツは一緒になったのだった。
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