第51話   システナリア社

スーツを着てミツヒロは、「おはようございます。朝から宜しくお願いします」と挨拶をし、システナリア社の内部心理科に入って行った。

そこに居たトモヒロが「おはようございます。俺は、トモヒロと申します。よろしくお願いします」とミツヒロに自己紹介をした。

トモノリが「これ、すみませんけど、仕事なのでこちらのご依頼の書類に目を通しておいてください」とミツヒロに重たい書類を渡した。

ミツヒロが「うぅ、重たい」と重たい書類に少々困惑しながらも、重たい書類を机の上に置いた。

その書類の1枚に「すみません、私のお気に入りのヘッドホンが無くなりました。どうか、探して頂けませんか?」と言うご依頼主の電話番号が書いて有った。

他にもいろんなご依頼があって、どちらを見ればいいか焦っていた。

そのヘッドホンを落としたマリナさんに電話を掛けた。

ミツヒロが「マリナさんですか?私、システナリア社を担当することになりました。ミツヒロと申します。よろしくお願いします。それで、いつヘッドホンを落としましたか?」とマリアに尋ねた。

マリナが「それがわからないので、何処で落としたのかもあまり記憶になくて困っています」とはっきり話をして居た。

ミツヒロは「ふぅー。ようやく電話対応が終わったから、チラシ作りしなきゃ」と思わずため息が漏れた。

仕方なくミツヒロは、カラー印刷で、ヘッドホンのチラシを沢山コピー機で作った。

ミツヒロが近くの人に「このヘッドホンを探していますが、見掛けた事はありませんか?」と声を掛けた。

近くの女性が「あ、このヘッドホンなら男の子が、自転車のかごに入れて持っていったけど」と重要な目撃情報を入手した。

その男の子の行きそうな公園に向かって車を走らせていた。

その男の子は、遊具に乗って、ヘッドホンを耳に当て、曲を聞いてははしゃいでいた。

ミツヒロが「君、そのヘッドホンは、持ち主が居て困っている人が居るので返して欲しい」とこんがんした。

その男の子はヘッドホンを取って「嫌だよ。これは、僕の物だから、取れる物なら取ってみろ」とヘッドホンを背伸びして投げた先は、ゴミ収集車の荷台に投げ込まれた。

ミツヒロは、ゴミ収集車の後を追って、ゴミの山に捨てられた所でヘッドホンを探し始めた。

そこにキラキラしているものが見え、ヘッドホンが其処に落ちていた。

汚くなったヘッドホンをウエットテイッシュで拭いて綺麗にして、マリナに電話を掛けた。

ミツヒロが「すみません。遅くなりましたが、今ピンクのヘッドホンが見つかりました。そちらに今お伺いしてもよろしいでしょうか?」とマリナに電話で聞いた。

マリナが「大丈夫です。ヘッドホンが見つかって良かった」と安堵していた。

ミツヒロがピンポンとチャイムを鳴らし、玄関から顔を出した。

ミツヒロが「マリナさん。このヘッドホンですよね?見つかりましたので届けに上がりました」とミツヒロはマリナにヘッドホンを渡した。

マリナは喜んでヘッドホンを付けると、重低音の大きな音が聞こえて来た。

マリナが「ヘッドホンを見つけて下さり、ありがとうございました」とお礼を言って玄関のドアを閉めた。

そしてミツヒロは誰かの為に、何か出来た事への達成感を味わって、笑顔で家に帰って来たのだった。

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