第35話   ヤヨイとハナ

チサが「ヤヨイ、ハナ。おはよう」と挨拶をした。

ヤヨイが「あはは。ハナ、こっちおいで」と笑って居て、ハナが「待ってよ。お姉ちゃん」と急いで走ると転んでしまった。

ハナが「うわあああん」と畑の真っ黒な土が顔にくっ付いて泣いていた。

チサが「もう、そんな所で遊ぶから転ぶのよ。ヤヨイもお姉さん何だから、ハナを見てあげなきゃ駄目」と注意をした。

ヤヨイが「はーい」と上の空でやる気のない返事を返した。

タクヤが「あぁ、はいはい」と仕事の話をしているのか此方に見向きもしなかった。

チサが「ハナ。お姉ちゃんは何処に行ったの?」とハナに尋ねると、ハナが「お姉ちゃん。お母さんが呼んでいるよ」と大きな声でヤヨイを呼んだ。

ヤヨイが家の裏手で「此処だよ」と手を振って、手を洗って居た。

ハナが「お姉ちゃん。私も手を洗う」と水道で、バシャバシャと手を笑って居た。

ハナが「ねぇ?お姉ちゃん。この生き物何?」と草の上でクネクネしている緑の虫を見つけた。

ハナが緑の虫を手に持って、「お姉ちゃん。この生き物だよ」とヤヨイに見せると、ヤヨイが「きゃー。気持ち悪い。さっさと捨ててよ」と叫んでいた。

ハナは緑の毛虫を持って、ヤヨイの反応を面白がって毛虫を持って追いかけて来た。

それに反抗するかのように、ヤヨイが逃げて行った。

チサが来て「こら。何をやって居るの?二人共」とハナとヤヨイに注意をした。

ハナが「お姉ちゃん。毛虫が嫌いだって。面白いね」とヤヨイを見てふざけて笑って居た。

ヤヨイが「もぉ~、そんな毛虫を持って居ないで、早く離しなさいよ」と嫌がっていた。

そしてハナは、毛虫を手から離して逃がした。

ヤヨイは「これだから虫が好きな人は困るのよね?」と少々嫌な顔をした。

ハナは「虫だって、生き物だから可愛いよ」とヤヨイに意地になって返事に答えた。

そこへタクヤが来て、「お、3人で何を話しているのかな?そろそろ、おやつの時間だからハナ、毛虫を触った手で食べちゃダメだよ。また手を洗いなさい」と話し掛けた。

ハナは「はーい」と手を上げて、水道で手を洗って居た。

そしてタオルで手を拭いて、皆が居るテーブルに向かった。

ヤヨイが待てない様子で「今日は、プリン?」と目を輝かせていた。

タクヤが「そうだな。皆の大好きなプリンだぞ。召し上がれ」と笑顔で答えた。

ハナは「私、プリン好きだよ。食べる」と思いっきり身体をテーブルに乗り出していた。

ヤヨイとハナはプリンをスプーンですくうと、「美味しいよ」と凄く喜んで居る様だった。

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