第29話 チサ
チサは、お姫様ごっこをして居たあの時よりも、大きくなっていた。
サユリが「チサ、入るわよ?」と部屋に入ると、チサがベッドの上に座っていた。
チサが「何?朝から」とサユリに返事をした。
サユリが「朝なのに早く起きてこないから、心配したのよ」とチサに声を掛けた。
チサは「朝かぁ?学校面倒だけど、仕方ない、行くか」と重たい腰を上げた。
小学校5年生になってチサは「起立、礼!」と号令を代表でかけていた。
先生が出欠確認をすると、「前島さん。今日は自習にしますので自由に勉強をして下さいと伝えてください」とチサに言伝を頼んだ。
チサが「この後、先生が自習にすると言うので皆さん各自、自習をして下さい」と大きな声でクラスの人達に声を掛けた。
自習なのに皆、大きな声ではしゃいだり、本を読んで居たり、寝て居たり皆バラバラだった。
そんなチサは、真面目に皆が騒ぐ中で勉強を真面目にして居た。
チサは勉強をしている中、夢を見てはペンを持ってウトウトしていた。
ウトウトしているとペンが変に書かれてしまう為に、勉強をしたところをペンで書いてしまって居た。
チサは「はっ、しまった」と思わず慌てて、消しゴムで消して、違うページに問題を書いて解いていた。
ペンを置いてノートを片付けると、またチサは夢の中に入って行くのだった。
チサは夢の中で、ショウタと卓球をして対決して居たが、ショウタがヘマをして、その内にチサが卓球の球をビシッと決めた。
ショウタは「負けちゃった」とチサに対して、ベロを出していた。
チサは夢から目を醒ますと、机にヨダレを垂らしていた。
そんな夢を見ている間に、チサの友達のユキコが「ほら、もうお昼よ。ヨダレ拭いて」とチサにテイッシュを渡した。
チサは「え?私、今まで寝て居たの?じゃ、私、授業を受けて居なかったのか?」と溜息を1つ吐いた。
ユキコが「しょうがないわよ。そういう時も在るの」とチサを説得させた。
チサはヨダレの付いた机を、ユキコからテイッシュを貰い机の上を拭いていた。
そのあと、お昼も終わり午後の授業が終わりを告げた。
皆が「さようなら」と声を掛けて帰る中、ユキコも教室に残っていた。
ユキコが「チサは家に帰らないの?」と話し掛けると、チサは何かを真剣になってメモを取っていた。
チサは明日の授業の内容をメモして、紙に書いてから「家に帰ろう」とユキコに声を掛けた。
ユキコと帰る頃、外は大雨で、バサッと傘を広げてチサが「一緒に入って行こう」とユキコを誘った。
ユキコは「うん、ありがとう」とチサと一緒の傘に入って校庭を歩いて行く姿を見て、職員室から先生が顔を出し「あの二人、仲良しなのね」と話し掛けると、他の先生も「えぇ、あの二人は特に仲良いと思いますね」と返事を返していた。
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