第12話   本当の幸せ

それからサナギは「あの、僕今日から内部心理科に配属になりました。サナギです。よろしくお願いします。」と名札を見せてお辞儀をした。

香苗が「あら、新しい人ね。今まで違う会社に勤めていたのかしら?」とサナギを見て話を始めた。

サナギが「そうです。僕は、これから何をしたら良いのでしょうか?」と香苗に聞くと、香苗は「そうね、まずは広告やチラシを作り、人望を集める為には、いろんな場所に宣伝する事。そして依頼人を募り、話を聞く事かしら。」とサラリと声を掛けた。

サナギが「あ、大事な仕事の内容ですね。教えてくださり、ありがとうございます。頑張ります。」と香苗に一礼してその場を去って行った。

香苗が「あの人、大丈夫かしら?冷や汗が凄かった。」とニヤリとサナギを見て笑っていた。

そして、サナギは今日も誰かの依頼人を迎えて、その人の悩みや欲しいものを聞いては、話に乗り解決して行くための手段を考えて、日夜活動して行く、世話係をする様になっていったのだが、そんな毎日に少し嫌気が差していた。

「サッナギさん。私、恵子。よろしく。どうしたの?ため息なんかついて。」とサナギに話し掛けた。

サナギは「もう、僕自体、依頼人も居ないし世話係の仕事が暇でもしかしたら、この仕事を辞めなくちゃならなくなるかもしれない。」と複雑な顔をしていた。

恵子が「じゃさ、私の悩みを聞いてくれない?」とサナギにそれとなく声を掛けた。

サナギが「まずは、どんな事?」と聞くと、恵子が「それは、今夜サナギさんとデートをする事。」とサナギに眩しい笑顔を向けた。

サナギは、初めて恵子と遊園地に行き、観覧車に乗って、コーヒーカップに乗って、1日が楽しく過ぎて行った。

恵子が「本当はね、サナギさんが仕事を辞めちゃうから、サナギさんと思い出を作って、将来結婚して、サナギさんと幸せになりたいなって思った。」と少し寂しそうに話しをしてサナギの前を通り過ぎて行った。

恵子の手を、サナギは握って遊園地を後にした。

サナギは、恵子に「僕も恵子さんと幸せになりたいなって想っていた。でも、断られたらどうしようかなって想っていた。」と素直な気持ちを伝えた。

恵子は「ありがとう、これからよろしく。」とサナギは、恵子と幸せになる決意を固めた。

皆に祝福されながら、結婚式を迎え、サナギと恵子は幸せに暮らした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る