《第7話》繋ぐ一本列島と次なる最大の試練
自らの目論みで特殊法人日本鉄道協会発足の年を迎え、待望の津軽海峡線や瀬戸大橋線の開業を翌年に控え世間が浮かれる中、昭和のゆとり穏健派ツネオに早くも四女の真美を授け、その2ヶ月半後に念願のマイホームが完成し、引っ越しの準備を終えて埼玉県戸田市のアパートを後にした。
電車寝台特急に乗って連絡船に乗り継ぎ、ディーゼル特急と普通列車で辿り着いた海岸近くの新居は一階部分が倉庫と玄関、そして二階に繋がる階段、二階には居間と浴室とキッチンと妻の寝室と昭和のゆとり穏健派ツネオの寝室があり、三階には子供部屋と来客室があり、屋上のバルコニーも付いて家族の遊び場にも使える仕様になっている。
洗面化粧台は二階と三階に備えられ、トイレは二階と三階と屋上階に付いて全て水洗式の和風両用便器に統一、そして屋上階には手洗い台もある。
そして家族と共に土地代を含めて1億円内の予算で完成した屋上バルコニー付き一軒家に入り、瀬戸物や衣服類などの整理を行い、新住居での生活を始めた。
新生活を始めて数日が経ち、特殊法人日本鉄道協会北海道総局に入り、総合企画部を担当する事になった昭和のゆとり穏健派ツネオには次なる試練が待ち構えていた。
それは、7年後の春を目処に五稜郭〜長万部〜東室蘭間の電化開業と試作改造で誕生した3両に続き追加で6両の改造も既に決まっていた貨物機向け交流電気機関車の新製導入、札幌〜函館間の特急列車を気動車から電車に移行する事と、試練は山積みになっていた。
独自路線を貫く北海道にとっては、新幹線の開通や高速道路の拡大をするよりも在来線の向上の為の電化・複線化・軌道強化・信号場増設の方が都合が良いからである。
それだけでなく、年が明けて札幌〜網走間を千歳線・石勝線・池北線経由で結ぶ特急列車への編入に伴い、函館〜網走間の特急列車廃止後の石北本線をどうにかしろと上層から言われ、やむを得ず系統分割、経路変更された特急に代わる主役を生む事にした。
その春からは旭川〜北見間で臨時特別快速列車を週末及び行楽シーズン限定で運行したモノの定期化を前提条件としていた為、旭川〜稚内間の急行列車を含めて札幌〜稚内間完全直通化と再利用によるキハ80系気動車への置き換えで余剰化したキハ54形500番台気動車の急行仕様車を転用、同じく余剰気味のキハ48形300・1300番台気動車とキハ40系気動車の一部を転用、何れも共通運用にして5往復設定し札幌〜旭川間の特急列車との接続に応じたダイヤ設定で調整する等、出来る事はそれだけだった。
更に、札幌〜函館間の夜行快速列車の設定も兼ねていたからか、転用された583系寝台電車の付随車のうち2両を改造し、幕式行先表示機器の撤去し埋め込み、同時に客用扉を引戸化し、代わりに側面中心部の窓の下部にサボ受けを設置したり連結器を交換する等して転用、仕様改造された50系51形客車との併結に対応させた上で組み込ませるという事に挑んだのだった。
ところが、線路沿いに近くて危険な海水浴場問題を抱えていたと聞き、その問題となっていた海水浴場と駅の視察に入り、その後鉄道部で数年後に問題の海水浴場を廃止し駅も淘汰させる方針で固めたのだった。
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