アナザー、魔〇の宅〇便、だいじょうぶかこれ。
touhu・kinugosi
短編
「お母さん、逝ってきまああす」
今日は魔女の、”クク”の旅立ちの日だ。
幼い魔女の目の前には、全長約十五メートルの、”飛行ほう機”。
正式名称、”SS、2211、FFサボイアD、ワルプルギス・スペシャル”である。
原作と同じように、”クク”のお
制作中によく村に墜落して、航空燃料用の消火剤を積んだ特殊な消防車(MAF-106C)にお世話になったものである。
※確かトミカでミニカーになっていたような。
見かけより大きなお尻のククは、20ミリ機銃を一丁しか載せられなかった。
小さな風防のついたオープントップの操縦席に座り、六点式のシートベルトを締める。
「ほんとは深紅に染め上げたかったのにい」
魔女の機体は、黒と決められているらしい。
「ちょっとまってよお、ククゥ」
「あっ、ズズ」
黒猫のズズが膝に乗って来た。
「いたっ」
膝と膝の間の操縦桿にズズの体が当たる。
「おそいよ、ズズゥ」
ククが両手両足を使い、パタパタとエルロン、エレベーター、ラダー、最後にフラップの作動確認をしながら言った。
「
スイッチを押す。
頭上にあるほうきのはく部分が、細かく振動し反重力を作り出した。
ちなみに、機体名称のD、はダミュ〇スのDである。
※アッ〇ルシード参照。
フワリとほう機が浮いた。
「じゃあ、出ぱぁつ」
カチリと親指でスロットルレバーの安全装置を外し、勢いよく引き下げた。
「ニャアア」
機体を軽く回しながら勢いよく飛び立つ。
「ククゥ、スロットルレバーは
ちなみに作中で、ピアスのありなしで経験のあるなしを表してるらしいよお。
※岡〇斗〇夫の動画を参照
機体はアクロバティックな動きを続けていた。
「タブを使うわっ」
クルクルと小さな丸いレバーを回す。
操縦が素直になった。
これから、二人は時計台のある小さな港町に向かうはずである。
無線器から松ピーーーの曲が聞こえてくるにちがいないのだ。
◆
ククとズズは小さな港街についた。
「こんにちはああ」
すました顔で挨拶をしながら降下。
緊張していたのだろう、街のど真ん中に着陸しようとしてそのまま墜落。
ドゴオオオン
街の半分を炎上させた。
この街で、魔女と黒猫を知らないものはいなくなった。
故郷の村と同じように、航空燃料用の消火剤を積んだ特殊な消防車(MAF-106C)のお世話になる。
その後、ククは小さな港町のパン屋に居候することになった。
何故か、ぐ〇ちょ〇パン店の屋上にヘリポートが完備されていたからだ。
それから、ククとズズは街で宅急便を始める。
誤配と紛失、たまに墜落して航空燃料以下略、のお世話になりながらの生活だ。
ある日、空系のミリオタ少年と知り合った。
「魔女子さ――ん」
シ〇ーア〇ダの声だ。
ポンポンポンポン
焼玉エンジン搭載の赤いトラクターに乗りながら、同い年くらいの少年が呼ぶ。
ヤンマさん……だ。
「昔、ソビエトが見えない飛行機(ステルス……?)を作ったって知ってるう」
「それって、機体が透明プラスティックの膜で出来てたんだよう」
「でも、アッとゆう間に日に焼けて黒ずんできたんだってえ」
※、参考文献、”世界の駄っ作機3”、岡部ださく著
「きもっ」
ククのひとこと。
◆
まあ、なんだかんだと日が過ぎて、ある日遠くの空に巨大な飛行船が飛んできた。
「うわあ、あれは、弩級飛行戦艦型ほう機、”ゴ〇アテ”だあ」
この世界の空を飛ぶものは全てほうきだ。
「全長320メートル、これは戦艦大和と同じくらいだよお」
「全幅84メートル、全高82メートル、武装も多数で、グローリアス帝国の……」
ヤンマさんが、延々とスペックとうんちくを語り始めた。
「うざっ」
ククが一刀両断する。
その時、街角のテレビが臨時ニュースを流し始めた。
「臨時ニュースをお伝えします。 先ほど、超軍事大国であるグローリアス帝国が我が国に宣戦布告をしました」
「大型の戦艦型ほう機が国境を超えた模様です」
「直ちに安全な場所へ避難してください」
ズドバアン
ゴリ〇テが発砲。
街のシンボルである時計塔に命中。
炎を上げながら街に倒れる。
「
いつの間にか、発進用カタパルトが出来ていたぐ〇ちょ〇パン店の屋上。
ククとズズは、そこに駐機された、
”SS、2211、FFサボイアD、ポル〇ロッソ・スペシャル”
に飛び乗った。
機体は深紅に染め上げられている。
見知らぬおじさんにデッキブラシを借りる必要はない。
「ククゥ、20ミリ機銃一丁しか武装がないよう」
ズズが情けない声で言った。
まあ、零戦で空飛ぶ戦艦大和を墜とすようなものだな。
「なんとかっ、するわっ」
なんとかするらしい。
発進準備完了のハンドサイン。
両手で前のレバーを持ち発進に身構えた。
身重のオオソノさんが、腕を前に振りカタパルト発進の合図を送る。
ズドオオン
ククとズズを乗せたほう機が、電磁カタパルトで離陸した。
ククとズズは、とても言葉で表現できないような、あ~んなことやこ~んなことやそ~んなことを駆使し、ピー音が鳴り響きモザイクで隠されるようなような行為をくり返して、単機でゴリア〇の撃墜に成功したのである。
人がご〇のようだあ。
”鉄騎士十字章”を授与された。
その後、ククとヤンマさんの間に、男女の双子が産まれたり産まれなかったり……。
めでたし、めでたし。
大丈夫かこれ。
アナザー、魔〇の宅〇便、だいじょうぶかこれ。 touhu・kinugosi @touhukinugosi
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