第七章 シルア

第82話

シルアの国は荒野の中にあるオアシス都市国家である。少し離れたところにある大きな川の支流が流れ込むため、小さいながらも豊かな国だった。

「ここまで西にきたら、大分ロンデルトのあたりとは雰囲気が違うね」

 街並みや人々の服装を眺めながら、ユリが言った。町の人々は長いベールかターバンをかぶり、ゆったりとした服装をしている人が多かった。顔立ちも少し違う。

「そうだな、気候がずいぶん違うから…このあたりは乾燥していて寒暖の差が激しいんだ。植生も違うから、食べ物とかも結構違うぞ」

 タツが説明した。

「俺はこの国好きだけどね。酒場とかにも面白いやつが多いし」

 タクは明るい顔をしていた。

「そうだな、陽気な人が多いかな。人懐こい感じの人が多い土地柄かもしれないな。その分、柄の悪い奴もいるけどな」

 

四人はさっそく馬を預けられる宿を探し、四人分の寝床を確保した。簡素だが感じのいい宿だった。

「どうする?今日はもう宿で休むか?それとも晩飯くらい外に食べに行くか?」

 タツが尋ねると、自然にみんなの視線はユリに向く。

「夕ご飯は外に行こうか」

 その一言で決まりだった。

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