第59話

ロンデルトのような大国のにぎわいとは違い、ユーピンのにぎわいはもっとのんびりとしたものだった。誰もかれも明るくリラックスした表情で、ゆったりした服を着て歩いている。国の規模の割に宿屋の数も多く、宿の確保も簡単だった。


「じゃ、早速温泉に行ってみるか」

 宿に荷物を置かせてもらって身軽になったところで、タツが張り切って声をかけ、三人はユーピン名物の温泉へと向かった。


「ここがさ、一番大きい浴場だってさ」

 いくつもの「湯」ののぼりが立ち上る町並みを歩きながらタツが案内した。以前にも来たことがあるから慣れたものだった。

「うわー、大きいんだね」

 大きな木造の建物を見上げてユリが感嘆の声を上げた。

「ああ。もっと小さいところとかもあるけど、ここが一番正統派だな」

「じゃあ、ユリとはここで別れないといけないから、湯から上がったら上がったところにある休憩所で合流な。ゆっくりしてきていいから。入り方とかマナーは壁に書いてあるからよく見とけよ」

 料金を払ったところで、男女別の入口があったため、二手に分かれることになった。


「ふー、あったまるな、やっぱり。シャワーとは違うなぁ」

 身体を洗ってゆったりと湯につかりながら、タクがしみじみと感想をもらすと、タツも深く頷いた。

「ああ、ほんとにそうだよな。俺、温泉入ってるときすごい幸せ感じる」

「ユリはどうしてるかな?」

「大丈夫だろ、心配しなくても。のんびり疲れ取るのがいいさ。温泉は体にいいんだしさ」

「まあ、そうだな…」

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