第41話
ユリの言葉通り、翌朝には熱は下がり、元気を取り戻していた。
「もう大丈夫。ごめんね、心配掛けて」
明るく笑うユリにホッとして、タツは昨日の頼まれ事について話した。
「それはかまわないわよ。どのみちロンデルトの医療事情は調べないといけなかったし。でも、情報探しの方がはかどらなくなっちゃうんじゃないかしら」
ユリが小首を傾げた。
「うーん、そうだな。今日は二手に分かれてみるか?俺は市と三番街に行ってみるから、ユリはタクと一緒に診療所に行ってみろよ」
「いいの?タツ一人で」
「俺は男だから平気さ。ユリを一人にする方が心配だ」
宿の主人に告げると、主人は大喜びした。
「ただ、主治医の許可がないと診察はできませんし、私の手に負えるとは限りませんよ」
ユリがくぎを刺したが、それでも主人はひるまずにはりきって案内をした。ユリは医療道具が入ったカバンを持ってタクと一緒についていった。
診療所はそう遠くなく、小規模なものだった。ユリが遠慮がちに挨拶をすると、診療所の若い医師は恐縮して何度も頭を下げた。テオというその医師は、若いと言っても二十代の半ばでユリよりずっと年上だ。アスクラピアの医者というのは、少なくともここ一帯の医者にはかなりの尊敬を集めるものであるようだった。
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