第34話

幸い、翌日も天気は良かった。春なので、陽気が気持ちいい。一晩ぐっすり休んだことで、ユリの元気は大分回復していた。

 宿を引き払う時、支払いを誰がするかで、少しもめた。ユリが払うと言って主張したのだ。

「大丈夫、使うあてもなくてお給料はずっと貯めてたから、蓄えだってあるもの」

「でもなあ、そうもいかないよ」

 タツが渋ると、タクが能天気な声を出した。

「あのさあ、これからだってずっと一緒に行動するんだから、互いに金出しあって、財布を一つにしとけばいいんじゃないのか?一回一回どちらが払うかもめていたらキリがないぜ」

 タクにしては珍しく、非常にもっともな意見だったので、ユリもタツも意外という表情を浮かべて頷いた。

「お前にしちゃ珍しく常識的な意見だな」

「ほんと」

「なんだよ、二人とも俺を何だと思ってたんだ?」

 タクがふてくされたことで、二人は笑う。いつもの三人に戻っていた。

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