第32話
タツはかなり慎重に、タクと二人で進む時の半分近くにペースを落として休憩も多くとったため、ロンデルトまでかなりの距離を残しての日没近くとなった。
「さてと、今日はあそこの宿屋にするか」
街道沿いにはポツポツと明りのついた宿屋があった。これも野宿が基本の他の地域にはめったに見られないことだった。タツは一番近いこぢんまりとした宿屋を選ぶことにした。
「ふう」
宿に落ち着くと、ユリは思わず息をついた。
「疲れたか?ユリ」
これまで徒歩で荒野を旅してきたタツとタクにとっては楽すぎるほどの行程だったが、ユリの顔には疲れが浮かんでいた。
「うん、ずっと馬に乗ってることなんて初めてだから、ちょっとね。でも大丈夫。普通の旅よりはずっと楽なんだろうし」
「まあな、でも無理は禁物だぞ。一日外にいるだけでも体力は奪われるものだし、慣れないうちはなおさらだ。今日は早めに休んだ方がいいな」
タツが気遣うと、ユリは素直にうなずいた。
「ありがと。なんか、私がいることでかえって迷惑かけてるような気もするんだけど…」
「そんなことないって。早く移動すればいいっていう旅でもないんだから」
「ありがと」
簡単な夕食をすますと、ユリは早々に部屋に引き揚げた。部屋はもちろん、二部屋とっていた。
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