第14話
「まいったな…」
「予想外の事態だな、これは」
何の収穫もないままに一日目の夕暮れを迎え、二人はすっかり途方に暮れていた。
「こんなこと、リュウじいは教えてくれなかったよな」
「まったくだ」
疲労の色を隠しきれず、二人は道端に座り込んだ。
「ちょっと、あんたたち、大丈夫かい」
座り込んだ二人を目ざとく見つけて、通りがかりのおばさんが声をかける。
「あ、大丈夫です。疲れただけなんで」
「そう、ならいいんだけど。あんたたち、何の病気できたのかい?よかったら、病院探しを手伝ってあげるよ」
おばさんは気遣わしげな表情である。
「あ、いえ、私たちは患者ではないんです。人を探しにきたんです」
「え?」
おばさんはものすごく意外そうな顔をした。
「あら、病人以外にもここに来る人はいるんだね。それじゃ、入るの大変だったでしょ」
「ええ、すごい色んなことされました」
「それは厄介だったね、私ら町人でも外へ出たら入るとき大変だからさ。じゃあ旅人ってことかい?どこからきたの?」
「バルトです」
「んまー!あのダリアのそばのかい?そりゃあまた、ずいぶん遠くじゃないか。それは疲れもするね。宿はあるかい」
「いえ、まだ…」
「あらあら、じゃあうちへおいでよ。実はうちも旅館なんだよ」
「あ、でも俺ら、あまり金がないので…」
断ろうとしたタクの肩を、おばさんは威勢よく叩く。
「何言ってんだい、安くしとくよ!」
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