第13話
翌日、二人はようやく入国を許可された。しかし、期限は七日間のみ、持ち出し荷物も制限されるという、厳しい条件付きであった。
そして二人は、思わぬ事態に直面する。
アスクラピアが医療に特化して発展を遂げた、世界でも独特な国である。永世中立国としても知られ、大国にも強い態度に出られる国であるが、規模は大きくない。だから入国さえしてしまえば、銀髪の医者などという、目立つ探し人は簡単に見つかるものだと二人は思っていた。
ところが、この医療大国、病院の数が多すぎるのだ。町の中心部にある総合医療センターのほかに、星の数ほどの個人病院があり、薬草園がある。町の案内所に行き医者を探していると言うと、「何科の医師か」をまず問われる。そんなこと二人には知る由もない。そもそも、「科」によって病院が分類されていることすら二人にはなじみがない。銀髪に藍色の瞳という身体的特徴を挙げてみても、そんなものは記録として登録されていないから手がかりにならないと一蹴されてしまった。しかたなく、病院を一つ一つ探すことにしたが、途方もない数であり、とても七日間で回りきれるとは思えなかった。
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