第1話
「どこにでもいける、魔法のチケットが手に入った。」
どこに行こうか彼女は嬉しそうにチケットを見ながら何度も何度も思案している。聞いているこちらまでワクワクしていたが、色々な地名を上げる彼女に一つ気になって訊ねた。
「ねえ、魔法のチケットって現実にある場所にしか行けないの?」
「どうだろう?無料の旅行券の感覚だったけど……そうだね、魔法ってついてるんだよね」
僕の言葉に彼女は持っていたチケットを見ながら考え込み、先ほどとはまた違った行き先を楽しそうに上げる。
「だったら、恐竜がいる時代とか……戦国時代とか……江戸時代とかもいいなぁ。未来とかも行けちゃうのかな?」
「そうだったら、本当に魔法のチケットだね。それだと使い方……ここにチケットを持って願うって書いてある!」
彼女の持っている魔法のチケットの使用方法が書いてあり、本当にどこにでも行けるんじゃないかという現実味が帯びてくる。それに、願うだけなら失敗したらどこにも行けなかったと笑うだけだ。
「じゃあ、ここかな」
「どこにするの?」
「内緒」
彼女は笑って持っていたチケットおでこにあてて目を閉じて願い始めた。魔法のチケットが光だし彼女の体を包み込み、その眩しさに一瞬目を閉じて目を開いた後には彼女の姿は消え魔法のチケットだけが床に落ちていた。
「本物……でも……」
僕は愕然とした。彼女はどこかに消え魔法のチケットは床に落ちている。
「どうやって帰ってくるんだよ!!」
行き場所も分からず追いかけることも出来ず、彼女は行方知らずとなった。願わくば彼女の行き先が未来であって欲しい。僕はそれまで一人で旅を続けようと思う。
行方知らず 直弥 @ginbotan
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