第7話・鹵獲艦を改装せよ其の壱

アストラリア級一番艦アストラリアを鹵獲したGJAPMC一行は、この鹵獲艦を改造し、乗っていた乗員と共に艦隊に迎え入れることを計画していた。

これはその時の話である。


「で、乗っていたのは結局113人と...戦艦にしては少ないな。何故だ?」


ヒトラーが動けないように縛られた敵兵にそう聞くと、敵兵たちはまるで示し合わせたように揃って全員こう答えた。


「「「そこの人が乗ってたワイバーンにやられたのですよ!」」」


「Okay, ich werde Oberst Rudel ein wertvolles Stück Kokosnusssaft als Medaille geben. 

で、そこの田津さん...」


そうヒトラーが言おうとするとデンツが突っ込んできた。


「仲間への勲章がココナッツジュースってどういうことよ!あと勝手に私の名前をお前らの意味分からない字にするなぁ!」


ここでヒトラーの頭に疑問が走った。

自分たちは日本語を勉強したため女神が日本語で翻訳できたが、何故翻訳しないはずの固有名詞の漢字やドイツ語まで分かるのか、という

ことだ。疑問に思ったことは聞くことが一番だと考えたヒトラーは、さっそく聞いてみることにした。


「お前、漢字なんて分からんはずなのになんで我々の言葉が理解できるんだ」


「へ?翻訳魔法でさえも知らないの?あなた達ってなんか次元が違う気がしたけど、やっぱり別の世界から来た感じ?」


「なるほど、お前は見る目があるようだ。特例で用積みになっても113の仲間と共に土に還るまで採用してやる。反乱をしたら...「ごぶりん」の巣に放ってやろう。奴らはいろんな意味ですごいらしいからな」


そうヒトラーが冗談のつもりで言うと、さっきまで少し元気が戻りつつあったデンツの顔が途端に引きつり、また泣き始めた。


「お、お願いします。ゴブリンの巣に私たちを放り込むだけはやめて!あいつらの所に行ったら...」


「俺知ってるぞ!天国で会ったガキが言うには「ゴブリン」っていうのはおn」


そう菅野が言いかけた瞬間、後ろから大きな影が迫ってきて、手に持っていたものを菅野の頭に向けて勢いよく振り下ろした。


ゴンッ!バキャァ!


「もう二回言ったが、仕方がないからもう一度言ってやる」


「は、はい。何でしょうか山口中将殿」


「貴様に武士道はないのかぁァァぁぁぁぁぁぁl!海軍式凶育を施してくれるぅぅぅぅぅぅ!この馬鹿たれぇぇぇぇぇ!女性の前で下品な言葉を発言しようとする事は言語道断!日本神兵としての自覚をもてぇぇぇぇぇぇい!」


「うあああああああああああああ!」


バキッ!ドガッ!ドガシュッ!バキィ!


「すいませんって!あ、ちょそこはぎゃああああああああああ!」


菅野が急所に食らって悶絶するが、山口の凶育は一向に終わる気配を見せない。

その後14分間にわたって海軍精神注入棒で殴り続けられた菅野は、ぐったりして自室に帰っていった。


「な、なんかいろいろ凄いのですね。あなた達って」


「いや、もうあなた達じゃぁないぞ。此れからは我々の仲間だ。だからもう敬語も使わん!そこの将校2人を除いて全員海軍二等水兵からやり直しだっ!そのすぐ降伏する糞根性を叩きなおしてくれるわ!手始めに飛龍飛行甲板を100周。さっさとそこの籠に乗って飛龍に移乗しろ。一回6人までだ!」


止まっている彼らを見て山口は一瞬籠の使い方がわからないのかと心配したが、その必要はなかった。彼らは志願者を先にかごに乗せ、将校以外の元上官のために安全点検をしていたのだ。


「彼らは彼らでいろいろ苦労するのだなぁ。よし、私も監視を続行するか...」


山口はそういうと30ノット(魔改造済み長門)で航行している長門から海に飛び込み、そのまま30ノットで航行している飛龍の艦尾梯子を泳ぎながらつかんで艦内へ入っていった。菅野はこれを見て「山口中将殿はやはり化け物でありますよ」と言ったらしい。


―――ルーデルside


「ふう、やっと設計図もできたな。もう原型がないが」


「別にいいだろうルーデル。ブリカス製に似た戦艦を鹵獲できたうえにドイツ仕様に改造できるのだから。おーい、女神!こいつをその艦に適応してくれ!」


「はい!今行きますっ!はひゃわぁ!」


そう言って走ってきた女神だが、長門の三式弾の子弾でめくれ上がった甲板で躓いてしまいせっかく上の世界から持ってきたドレスを破いてしまった。


「おいおい何てNarrな奴なのだ。俺たち裁縫なんかできやしないぞ!」


「菅野が作っていた米糊はどうだ?」


「馬鹿、腐るぞそんなもんを使ったら」


そう会話していると、ドアを開けて二人の将校が入ってきた。

一人は男。もう一人はデンツだ。


「デンツかそこの男、こいつのドレスを縫ってくれないか?俺たち玉止めもわかんねぇんだ」


「そこの男ではありません。私はベルンハルト・レムスカです。裁縫はできませんが、私の右に立っている尻軽女が適任です。なんたって農家出身ですので」


「貴様!それが上官に対しての態度か!」


「馬鹿だな。先程我々は祖国の指揮下を脱し、このGJAPMCに加入したため、これまでの階級はなくなったも同然。要するに貴様のような枕営業の馬鹿に敬意を表す必要はない、そう考えただけだ。それとデンツ、お前にいいことを教えてやろう。諜報機関の大尉は通常軍の大佐に相当するのだ。要するに実質私は中佐の貴様より上なのだよ」


「私は枕営業なんてしてn...」


そうデンツが言いかけた瞬間、ヴィットマンがワルサーをデンツのポニーテールめがけて放つ。ダァン!という音と共に狙ったものに命中した銃弾は、デンツの髪形を見るも無残なものに変えてしまった。


「へ?」


「Wenn Sie Zeit haben, dumm auszusehen, dann befolgen Sie unsere Anweisungen.Dens.」


「は、はい...」


ヴィットマンに警告されたデンツは隅っこに行っておとなしく針を動かし始めた。


「なかなか気が合いそうだな。ベルンハルト大尉。私はミハエル・ヴィットマン。大尉だ」


「心から同意します。此れからよろしく」


そう言って二人は握手をすると、ルーデル、女神と共に設計図の改善点を話し始めた。


――――――――――――――――――――――――――

申し訳ございません。鹵獲艦の改装は次の話になってしまいました。

今回はその過程です。新キャラも出てきます。ネタバレをしますち、こいつは裏切りません。悪の会社内結社、デンツいじめ団の団員にはなりますが...



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