第6話・敵艦発見!戦端ヲ切レ!
ワイバーン部隊の攻撃を難なく突破したGJAPMC艦隊はバイエルン島を目指し、
最大船速で航行していた 。
―――戦艦長門前檣楼戦闘艦橋
『山口中将,飛龍の電柵が不審艦隊を捕捉したそうだ。直ちに対応してくれ』
そう無線電話で言ってきたのはヒトラー。組織の体ができた以上、最早山口中将よりも実質上の人間だ。
実際彼がいなければ成り立たないことが多数あるので、自分より上の立場でもバチは当たらないだろうと思い、ヒトラーが社長になることに山口は賛成した。
「了解した。こちらは砲撃戦距離内に入り次第、敵に警告を実施し従わなかった場合は攻撃する」
『了解した』
――40分後
「敵艦が砲撃戦距離内に入った。警告を開始する」
『了解した。許可する』
山口は新設した無線機のマイクに向かって話し始めた。
「こちらはGerman-Japanese Allied Private Military Co、ドイツ‐日本民間軍事会社所属艦隊である。貴船は本艦隊の警戒距離内に侵入した。一時間以内に警戒距離から脱出しない場合、攻撃を開始し貴艦隊を攻撃する!」
その言葉を3回繰り返したが、依然として不審艦隊は向かってきた。
「山口中将、どういたしましょうか?」
長門が聞くと、山口はこう答えた。
「砲撃戦開始ぃ!主砲、準備でき次第敵艦に向け打ち方はじめぇッ!
ただし、砲弾は三式弾。信管は弾着予測時間に合わせろ!日本海軍のメンツにかけて絶対に間違えるな!」
神聖アストラリア帝国艦隊side
「司令官、敵がこんなことを苦し紛れに送ってきました」
そう言って豪華な軍服に身を包んだ女は、更に豪華な軍服を着ている男に一枚の皮紙を手渡した。
「ふんっ!どうせ捜索魔法でこちらの姿をとらえたのだろうが、残念ながらこちらの方が数、質共に勝っている。敵を壊滅させた後は...ククッ!」
そう言って気持ち悪い笑みを浮かべ、片手に持っていたグラスに司令官が口を付けたその時。
ヒューーシューーーーン...ドッッグワァァァン!
という音と共に上空で何かが爆発し、司令官乗艦の左翼の艦隊を壊滅させた。
ガッシャ―ンというグラスが割れる音と共に司令官は怒鳴った。
「私の宝物は無事かァ?なに、損害と死傷者の集計?んなもんシラン。とにかく私の宝物は無事か?」
何処までも呆れられる司令官である。しかし、口答えを少しでもすると殺されるので、皆何も言わないのだ。
そうしてる間にも次々に砲弾は飛んで来る。
ヒューーシヒューーシューーーーン...ドドドドッッグワァァァァァン!
ひときわ大きな爆発が起き、残っていた前方と右翼の艦隊が、煙が晴れたころにはもう水面上になかった。
「クソう、どうなっている!」
そう言って司令官が叫び、上甲板へ兵を連れてどたどたと上がると、そこには
王が言っていたワイバーンが居た。
「ははは、奴か!あれを仕留めろ!」
そう言って兵に命令するが、一向に攻撃魔法は当たらない。
司令官はイライラして兵を一人切り捨てた。
ヒュっ!ブシャッ!ボトッ!
「当てないと殺すぞ!」
そう言っても当たらない。またもう一人兵を切り捨てようとしたその時。
ビィィィィィ!ガダン!ダン!ダン!ダン!
ワイバーンの攻撃と共に司令官の身体は文字通り四散した。
兵に攻撃は加えられなかった。
へたり込んだ兵をよそに、風車の音を立ててワイバーンは去っていく。いつの間にか
砲弾の攻撃もやみ、海上に残っていたのは船の残骸と人の死体、そしてギリギリ浮かんでいる1隻の船のみだった。
ルーデルside
「こちらルーデル、こちらルーデル。敵艦隊の壊滅を確認した。一隻残っているが、撃沈の是非は如何?」
『いや、いい。それが一番頑丈だったからな。きっと司令官も乗っているだろう』
「いや、司令官らしき人物はさっき銃殺した」
『そうか。...まあいい。結局のところこれで二勝目だ。ん?なんだって...
ルーデル、どうやら社長閣下がその船の鹵獲をお望みのようだ』
「了解した。直ちに誘導を開始する」
――3時間後
神聖アストラリア帝国海軍の最後の艦は接収され、乗組員と共に取り調べを受けていた。大方乗組員はおとなしかったが、一人例外がいた。
それは司令官が殺されたためこの敵艦の実質最高位の人間である女性士官だ。さっきからしきりに「くッ!殺せっ!」に類する言葉を繰り返している。
その後、GJAPMC一行は完全に無視していたおかげか、相手方も疲れて何も言わなくなってしまった。
調査が終わると、ヒトラーとヴィットマン、そして菅野の三人がかりでの尋問が始まった。役割分担でヒトラーは敵兵に話を聞き、あとの二人は唯一の敵士官に対して尋問を行うことになったので、それぞれは自分の仕事にとりかかった。
その後尋問が始まったが、ここで菅野が女性士官に対し問題発言をしてしまう。
女性士官に対して、「アマババア」という二人称を使ってしまったのだ。
そう言った菅野に口答えをしようと女性士官が口を開くとヴィットマンがワルサーを額に突き付け、こう言った。
「キィキィ五月蠅い。サルは黙って米兵にでも犯されてろ!
女性に対して「サル」という二人称と悪口はとてつもない破壊力を発揮する。
たちまち女性士官は啜り泣きを始めて、敵船備え付けの牢屋の端っこで縮こまってしまった。
「あ...なんかすんません。なんとかさん」
「私の名前はハイルヴィヒ・デンツよ!私まだお嫁にも行ってないのに、アマババアって言われたぁ~うわぁぁ」
そう言って今度は号泣し始めたので、そっとしておくことにした。
その後二人は山口中将にまたシバかれたらしいが、それはまた別の話。
――1時間後、飛龍艦長室
ジリリリリリ!ジリリリリリ!
電話の音が鳴ると同時に、ヒトラーは受話器を取った。
「それでこの世界で最強だった艦はどうだったか、山口中将。報告してくれ」
『全長は160メートル。グレート・ブリテンのマジェスティック級戦艦に酷似しているが、先進的な背負い式砲塔を採用しており、砲弾の発射が不可能な305㎜連装砲が4基で8門。同じく砲弾発射は不可能な155㎜砲が18門、76.2㎜砲も18門搭載されていた。装甲は...目も当てられんな。たったの20㎜だ。砲撃戦を想定していない。正真正銘の対魔法装甲だった。ところで相談なんだが、この艦を改装して我が艦隊に迎え入れるのはどうだろう。女神がそんなことをできると言っていたぞ』
「なるほどな。分かった。了承する。ではまた」
そう言って受話器を置いたヒトラーは、女神を呼んでまた何か話し始めた。
――――――――――――――――――――――――――
次の話は鹵獲した敵船の改装をします。
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↑アドルフ・ヒトラーのラヂオシリーズその壱
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