総統大本営本命令!神聖アストラリア帝国ヲ粉砕セヨ!
第4話・接敵
自分たちをGJAPMCとし、しっかりとした組織になった一行はヒトラーが基地にすると決めたバイエルン島(元アイレーヌ島)へと出航するため、準備をしていた。
「「山口中将ー!」」
そういって山口に駆け寄ってくるのは長門と飛龍である。山口は彼女らと話すうちに彼女らが実娘(実際彼女らは20~25歳程度の見た目をしている)のように思え、なぜか口調が緩くなってしまうのだ。
「どうしたんだ?いいことでもあったか?」
「ええ。私たち雷ちゃんたちと友達になったんですよ!お話とっても楽しかったです!」
「雪風ちゃんに九三式魚雷をもらったんです!また今度菅野さんにあげてください!」
「艦載魚雷は航空機に搭載しても使えないのだよ」という言葉を喉元で止め、菅野なら何とか使ってくれるだろうという希望にすがって山口は彼女らの話を聞いていた...
―――空母飛龍
「HEIL Hitler!」「ご苦労様であります!」
アドルフ・ヒトラーをローマ式敬礼と通常の敬礼で迎えたのは菅野、ルーデル、ヴィットマン達だった。
「出港準備は順調かね?見たところすべて積み終わっているようだが...」
「いいえ、私たちの本体に着艦フックを付ける作業などが終わってませんの」
「すいません総統閣下...」
「別に大丈夫だ。明日までに出航できればいいしな。引き続き努力をしてくれたまえ」
そういってヒトラーは艦長室へと戻る。ガタッ!という音と共に牛皮製の椅子に勢いよく座り込んだ彼はこれからのことを女神と相談し始めた。
「ところで女神、敵に海上戦力は存在するのか?いるならどれくらいか教えてほしい」
『はい。もちろん存在します。まず神聖アストラリア魔法帝国の戦列艦、アストラリア級です。305mm連装魔導砲四基八門、155mm単装魔導砲18基18門、762㎜単装魔法銃12基の武装で速力は8ノットを発揮するこの世界最強の戦列艦となっておりますが、装甲が対魔法装甲しか施されていないので砲弾攻撃によって撃沈可能でしょう。続いて...』
この後も女神の説明は続き、最終的にはこの世界に存在する海軍力を持った国家は5ヶ国、存在する艦艇は合計で400程度しかいないことが判明した。
そうこうしているうちに航空機の改装は終了し、GJAPMC艦隊は出航のために式典を行うことになり、ヒトラーは愛車に乗ってヤマグチ中将とテラウチ中佐を呼びに行った。
――次の日、早朝
「アンファング島」と名付けた島から出発した艦隊は航路の40分の1を無事に通過していた。今通過しているのは、この世界では「サリエスト海溝」と呼ばれ、地球でいうバミューダ・トライアングルのような位置づけになって恐れられている海溝らしい。
「まだ40分の1か...長いな、船の旅というものは。オエッ...」
今まで地下壕やら家やらに引きこもっていたヒトラーはあまり長い時間乗り物に乗っていたことはなかった。とりわけ船にはほとんどといいほど乗っていない。
そのせいもあってか、彼はエチケット袋を5枚も消費していた。このペースで嘔吐し続ければ体重がごっそり減るばかりかエチケット袋を200枚も消費してしまう。
「総統閣下、船酔いに困っているのですか?」
ルーデルが聞くと、ヒトラーは
「これで困っていないように見えるのか⁉ウ、オエッ...」
「こりゃだめですね。前方機銃座に総統閣下をお連れしなさい、飛龍」
「分かりました!閣下、行きますよ!」
「ああ、わ、分かった。ありがとう。オエッ...」
ふらふらになりながらもなんとか立ち上がったヒトラーは、前部機銃座へと向かっていった。
――神聖アストラリア魔法帝国side
バッサ、バッサ、バッサ、
大きな音を立てて飛ぶ13のワイバーンの上に乗っているのは神聖アストラリア魔法帝国の兵士たちだった。彼女らは自国の領海の監視を受け持つ帝国最強のワイバーン部隊、ワイヒール飛行騎士部隊で、神の目の掲示を受け、帝国領海の近くを旋回しながら警戒していた。
隊長のマーガレット・リー・ヒース騎士長には幼馴染の男性の恋人がおり、今回の任務の後結婚式を挙げて軍を退き、幸せな家庭を共に築くという約束を真夜中の行為で約束したため、有頂天になって少し気が緩んでいた。しかし、それが後々の命取りとなったのだ。
「隊長、今回の任務が終了したら、いよいよお別れですね。さみしいです...」
「いいえ、寂しがっちゃだめよ。私もあなた達も助け合ってこの過酷な戦場を潜り抜けてきた。私は離れてもみんなの心の中にいるわ。だから私がいなくなっても頑張ってね」
「「分かりました!」」「頑張ります!」隊員たちは答え、心を落ち着かせた。自分たちはエースなのだから、隊長がいなくなってもエースでいなくてはならない!と。
その時だ、彼らの運命が決まったのは。
「右手前方に不審船4隻発見!」
―――ヒトラーside
バッサ、バッサ、
そんな音を立てて二次大戦基準でいうと馬鹿みたいに遅い速度でやってきたのは...彼らのワイバーンだった。
「あ、あれは!女神が言っていたワイバーン?ということは敵か」
久々に敵を目の前に見たヒトラーの目はまるでレオパルトのように爛々と光り輝いていた。
「飛龍!貴様は装弾手をやれ!」
吐き気も完全に忘れたヒトラーは少し乱暴に命令すると、ハンドルと引き金を持ち、標準機を凝視した。
彼女らの運命は決されていたのだ。科学と伍長上がりに向かっていった時点で...
――――――――――――――――――――――――――
かわいそうですよね、結婚式前日に死亡って...(微塵も思ってない)
★とフォロー、よろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/users/YFAS/news/16818093086161392581
↑アドルフ・ヒトラーのラヂオシリーズその壱
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます