第11話
姉様のことを思い出していると、しんみりとしてきて、側にあった脇息(きょうそく)を引き寄せて、寄りかかった。
その時だった。向こうの渡殿(わたどの)から、ばたばたと足音がして、あたしは耳を澄ました。 入り乱れた衣の激しくこすれあう音がする。
いったい、何が起きたのかと膝立ちになる。 足音は段々と近づいてきて、やがて女房の鈴鹿(すずか)が息せききって、走ってきた。
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