第9話
けれど、あたしとしてはこれから、会えないとなると、やっぱり寂しい。泣きはしなかったけど、心にぽっかりと穴が開いたようだった。
あの時はそんな感じで、後でこっそりと叔母様に頼んで、文を典子姉様に届けてもらった。 しばらくして、典子姉様から、直筆の返事と布包みが贈られてきた。 白い布で、包んであって、中身は漆塗りの櫛(くし)であった。 たぶん、姉様があたしの裳着の式が近いことに、気配りして、くれたのだろう。 今でも、お歌はよく覚えている。確か、こんなお歌であった気がする。
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