第8話

 典子姉様は、すごく美人で、優しくて、気品のある方だった。 いとこ同士で、早くに母上を亡くしたあたしに、姉のように接してくれた。

 でも、あたしが十三歳になった頃に、典子姉様は女御として、入内してしまわれた。 いつも、そばにいて、実の姉みたいに思っていたのに、会うこともままならない後宮へ入ってしまわれたから、複雑な心境だった。確かに、大臣家の姫ー右大臣家の大姫が入内するというのはおめでたいし、この先のゆく末も安泰は約束されたようなものなのだ。

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