第2話➄

第13話

彼に、券売機の使い方を教えた後 ー。


私は思った。


彼は実は天然なのか、それともかなりの箱入り息子なのか。


私は後者だと思う。実際、話してみて見て、

彼の所作一つ一つに気品を感じるのだ。


けれど、もう今はそれどころではない。


もうすぐで、この姿が解ける!

童話のお姫様のように!!


私が、


「では、こちらの券をあのカウンターに出してくださいね!私はこれで!」


と言ってそうそうに立ち去ろうとすると、


「待ってくれ!!」


と、初めて彼の大きな声を聞いた。


「困って居た所を、助けてくれてありがとう。僕の名前は“シャイン”。よければ、君の名前を教えてくれないか?」


彼は〘シャイン〙という名前だった。

どこかで聞いたことがあるような、、?

名前にも、まさに、名が体を表すような眩しさを感じた。



ベル

「いえいえ!えっと、私の名前は、、べルと、、」



続けて名乗ろうとした時だった。


一瞬にして、魔法が解けてしまい。


闇属性の姿の私は。



本来の姿の私へと変わる。


それは、今まさに“噂の特待生”の姿で。


彼が、その噂を知らない可能性を考えたけれど。


シャイン

「、、、!君、、!もしかして特待生の、、」


やっぱり知ってたかーーー!


ああもう、こうなったら、いろいろと追いかけられる前に逃げるしかないと考えていた時。


廊下で会った男子生徒2人組

「!!おい、あの子、こんな所にいたぞ!!

今度こそ捕まえて話するぞ!」



 まさかの、先ほど2階の廊下で巻いてきた、男子生徒がこの学食エリアに現れる。


彼らは私の存在に気付いて、足早にこちらへ向かってくる。


一度彼らから逃げてしまったからか、目が一層怖い。ていうか、捕まえるって、なんですか!?


なぜだか、珍獣扱いされていて、怖い。


ならば、もういちど、透明になる魔法で逃げきってやる!


そう思い、杖を持ちながら透明になる魔法を唱えたけれど、


ベル「トランスペアレント!、、あれ、、?」


私の身に変化なし。どうして!?


 私の魔力コントロールがうまくできていなかったからか、魔法は失敗。


さっきは出来たのに!


彼らがどんどん近付いてくる。


大柄な彼らのことが怖くて目をぎゅっと、

瞑ったその時。


ーー。


シャイン

「トランスペアレント」


優しく、手を引かれた。


隣に居た”彼“に。


シャインが唱えた魔法は、私と同じ魔法だったけれど。


彼も私も、周囲から見て、完全に透明になっている。



その場から消えた私達に対して、男子生徒2人組は

驚き、また悔しそうな声を上げていたーー。 


ーーーー


そのまま、シャインに手を引かれて、私達は透明な姿のまま、学食エリアから離れていく。



ずっと手を引かれたままで、なんだか恥ずかしくなって。


ベル「あ、、、あの手!もう、大丈夫です、、」


シャイン「、、、あ、、ごめん、、!!」


私が彼に声をかけると、手を離してくれる。


と、同時に彼は透明な魔法を解いてーー。


そして、彼も自身にかけていた”魔法“を解いた。



そして、現れたのは。


先程の黒髪ではなく、太陽のような瞳の色と同じくらいの、眩しい光の色の髪を持った彼だった。


その姿はまさしく。


どこかの国の。


おとぎ話に出てくるような。


ベル「、、王子様みたい、、」


彼は私の一声を聞いて、優しく、そして少しだけ

迷ってから応えてくれた。


シャイン

「その通り。僕はクレアスカイ王国の第一王子。シャインと申します。君はもしかして、新入生で特待生のベルさんかな?」



どことなく溢れる育ちの良さを感じては

居たけれど、、。


ベル「ほ、本物の王子様なんですか!?」


 まさか何気なく声をかけた相手が、国の王子様だったとは思うまい。


先程の黒髪の彼の面影はまるでなく、

目の前に居るのは、光のような眩しさを持った

人だった。


私は、気付けば、思ったことを彼に伝えていた。


ベル

「ところで、あなたは、さっきまで上級魔法を使っていたんですか!?全然気付かなかったです!すごい!

そういえば、さっき私の魔力のことも何か感じるって言っていたし、というか、透明になるあの魔法って、自分以外にもかけることができるんですね!すごい!それとー」


シャイン

「待って、待って!一つずつ答えるね、、!

というか君、すごい喋るね!?」



私、わくわくが止まらないよ。


知りたいが止まらないよ。


もっと、もっと。


魔法のこと!!!



キラキラと目を輝かせながら話し出した私は、まるで先程の彼のようになっていたと思う。


私、こんなに魔法のこと知りたいんだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る