第2話③
第11話
私が料理を待っている間、とある券売機の手前で、固まっている一人の男子生徒が目に留まった。
どうしたんだろう?
券売機はたくさんあるけれど、たまたま人気の
メニューが多いからなのか、その券売機の後ろには少し列が出来ていた。
すると、一人の女子生徒がその男子生徒に
向けて声をかける。
女子生徒
「あのー、後ろに列できてるんで、先買ってもいいですかーー?」
挙動不審な男子生徒
「ぁっ、、はぃ!すみませんっ、、、!」
その挙動不審な黒髪の男子生徒は、顔を隠しながら、小声で返事をし、遠くに配置されている別の券売機へと向かっていた。
今度は誰も並んでいなかったけれど、、。
ベル「あの人、、ま、また固まってる、、?」
なんだか、気になるけど、、。
いやいや、私は早く寮部屋に戻らなくては!
、、、、。
声だけでも掛けてみようかな?
もしかしたら、何か困っているかもしれないし、、。
なんだか、放っておけなくて、私は彼に近づいて、声をかけた。
ベル「あのー、、どうかされました?」
挙動不審な男子生徒「ひぃ!!えっと、、、」
一瞬だけ、こちらに視線を向けてから、
彼はすぐに目を逸らしてしまった。
けれどその一瞬見えた瞳の色が。
まるで、太陽の光のように輝やいていて。
とても。
ベル
「、、、綺麗」
挙動不審な男子生徒
「!?」
彼が少し驚いたような動きを見せる。
あれ、、私今口に出してないよね、、?ん、、?
大丈夫、大丈夫。心の中で思っただけ。
彼が興味ありげに、じーっと見てくる気がするけど気のせい、気のせい。
心の中でぶつぶつと呟く私の声に反応するように、彼が応える。
「君、、もしかして僕のこと知らない、、?」
彼の口から初めて聞いた言葉は、私の想像していたものではなかった。
てっきり、“さっきの言ったかもしれない発言”を
指摘されるのかと思ってしまった。
あぶない、あぶない。
、、、って!
やっぱり私、声に出しちゃってたのかな!?
だとしたら恥ずかしすぎる!
なんて、またぐるぐると考えてしまいそうに
なりながらも、彼の質問に、私は正直に応える。
ベル
「えっと、、知らないです、、もしかして有名な方なんですか?」
そう、私が正直に応えると、今度ははっきりと
彼が驚くのが分かった。
それと同時にどこか嬉しそうに、くすっと、
少しだけ笑った気がした。
一瞬だった。
彼の長い前髪で隠れていた”瞳“がはっきりと見えたその時。
気持ちが、まるで海の波のように流れてくるように思ってしまう。やっぱりとても、、。
とても、
とても、、、!
ベル「綺麗っ!」
彼「!?」
ぁぁあああ!!!何で声に出しちゃうの私!!
今度はちゃんと言った感じがある!!
口に出してから、なにかと葛藤するように
頭を抱えてその場を回り出した私に、彼は初めて
私に、光のような笑顔を向けてくれた。
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