第1話➄

第7話

時間というのはあっという間で。


気が付けばもう、王立クレアスカイ学園からの

使いがくる、当日になっていた。


 魔法を身に覚えていく中で、これだけは

分かったこと。





魔法って楽しいけど!すごく魔力の調節が難しい!!!





 そしてママいわく、私は魔力量がかなり多い

ので、魔力をたくさん使いすぎてしまったり、

逆に使う魔法に対して、魔力が足らなかったりというのがこの数日の練習でみられたという。


 以前のベル(私)は、魔法の出力も全てが完璧だったとか。


、、、。


 これ、入学式大丈夫かな!?だって、中身は

魔法の、どどど初心者だよ!?


どうにか、粗がバレませんように。

 スピーチの方はそれなりにうまくできる気がする。(※作ったスピーチ原稿を頭に叩き込んだから!)


 問題は、魔法の発表である。

発表は、詳細にいえば、新入生を代表として

行うものだそうで。特意な魔法を披露するだけでいいというのだけど、、、。






得意な魔法がまだないですよ!!





って、学園側の方にツッコミたい。




 私はこの数日の練習で、いくつかの属性の魔法を使ってみた。

確かに、ベルはすごいかもしれない。

どんな、魔法を使っても、ひとまずは形になって発動するのだ。(私の魔力コントロールがまだうまくできないから、失敗してしまうけど)



得意な魔法といわれても、どれもまだまだだけど。


私なりに考え、これならば、それなりに大半の人を欺けるのではないかと考えた魔法を、今日披露するつもりだ。



ー  学園は、三年生単位らしく。

私は家から通うものかと思っていたんだけど、

なんと、寮での生活らしい。


 そして、学園の生徒は、特別な事情を除いて、年三回あるうちの休暇以外は、実家へと帰ることが禁止らしい。


それは、名門校の生徒だとしての自覚と誇りを持ち、在学中、魔法に関してしっかり向き合う為なのだとか。


 なので、今日からしばらくの間。次の一学期の休暇までは、ママともこの家ともお別れになる。




 学園からの、遣いが来るまでの、残り時間を切るまで、私はママと話し続けていた。


そして、ママは私に、金色のリボンが巻かれたとある箱を差し出した。


ベル「この箱は、、!?すごく綺麗、、!」


ママ「ふふっ♪ベルちゃん中を開けて見て」


ママに促されて、中を開けて見てみるとそこには、、、。


 とても綺麗な、蝶のような形をした、白く光る髪飾りが一つ、入っていた。


 ママ

「これはね、ベルちゃんが昔から大好きな”妖精“をモチーフにして作った髪飾りなのよ。ベルちゃんをイメージしてママの雷魔法も付与して作ったの」


ベル「妖精の、、。って、ママが作ったの!?」


ママ「そうなのよ〜♪ベルちゃんの為に、学園に入学が決まった時から、作ってみたの!予定より、時間がかかってしまったけど、これは、祈り魔法と属性の付与魔法を掛け合わせて形になるものでね」


ベル「すごいっ、、!こんなにきれいな髪飾り、初めて見たよ!これを、、私に?」


ママ「もちろん♪世界で一つ、ベルちゃん専用よ♪ママが着けてもいいかしら?ベルちゃん、少しママの近くまで来てくれる?」


ママが手招きをして、私を呼んでいる。

もう、ずっと、この優しい空間に居たいです。


、、、居ていいよね?


学園行きたくないよ!!!


いやでもでも、ママも入学をすごく喜んでくれているし、私も魔法の練習してきたし!


いや、でも行きたくないよぉおおお!



私の情緒が不安定である。

そんな心の内をママに見透かされないように、

ママの近くまでいく。


ママ「はいっ!できたわ♪うん!私の娘は今日も最高に可愛いわね♪」


はいっ!と、ママは私に手鏡を渡してくれた。


ツインテールに結われた髪型に、ママからの髪飾りをつけた私。自分でいうのもなんですが


可愛いですな!?可愛すぎますな!?



 ベルとしてこの世界に来てから、魔法の練習に集中していて、腰あたりまで伸びていた髪型も、何も結わずに過ごしていたけれど。



ツインテールの私、最強に可愛い髪飾り着けた私。


速報です。


すごく可愛いです。



私がママにお礼を言おうと、口を開いた時ー


 ベル「ママ、本当にありがっ ー」


ママは優しく、私を抱きしめてくれた。

私は少し動揺する。


 ベル「ママ、どうしたの、、?」


それは、とっくにママにはバレていた、私の心なのかもしれない。


ママは私を抱きしめながら、優しく耳元で話し始めた。


ママ「、、次の休暇まではここには戻って来られないとのことだけど、、。辛くなったり、すごく泣きたくても、泣かせてもらえないような苦しい状況になったら、無理に我慢せず、必ず戻っておいで。」


ベル「、、!ママ、、、。」


ママ「、、大袈裟かもしれないけど、ママは思うの。どんな時でも、大切な人にかける言葉を、

大切に選んで伝えようってね」


 ママの言葉はすっと落ちたように胸に響いて、そしてその言葉の奥に潜む、ママの想う大切な人の影を感じた気がした。


 私も、この瞬間に選んだ、かけたい言葉を、大切なあなたに伝える。


ベル「私、、この世界で、ママと出会えて、今、ベルとして生きていて思うんだ。心がね、あたたかいの。ママと話していると、もっとあたたかくなるんだ」


不思議だった。初めて出会った人なのに、こんなに心を許してしまう自分がいること。


 前の世界の家族のことも、自分がどんな人だったのかも、今も思い出せなくて、曖昧だけれど。


学園に入学することで、何か記憶を取り戻すきっかけ見つけることができるかもしれない。



ベル「ママ、これからも、よろしくお願いしますっ!!、、えっと、、その、、好きだよ?」


頬が少し熱くなる。素直な気持ちを言うのは、少し気恥ずかしい。


だけど、、


ママ「、、っ。ベル”ちゃ“ぁあん!!いがなぃでぇ!!ママは世界一だいずぎぃ!!」


たった一言の言葉でも、こんなに喜んでくれる、素敵な人が居る。


それを知る事ができたから。


これからも、素直な私でありたいと思った。



そしてー。


王立クレアスカイ学園一年:特待生:ベル


いよいよ入学です!

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