第1話③

第5話

ベル「神様、、ですか?」


私は思わず、目の前の大きな龍に問いかける。


一瞬、多分気のせいだけど、龍は少し驚いたような顔をして見えた。


 荘厳(そうごん)なその龍は、その口を大きく開き ー。


??「我は空の龍一族の長、【シディアン】である。お主、何故(なにゆえ)、この地へとやってきた?」



龍一族の長!?え、えらい方ですか!?

威厳がありすぎて、怖く見えてしまったけれど。


シディアンと名乗るその龍はさらに続ける。


 シディアン「ここは人の子が来るにはかなり高度な地である。後に、雷雨となるだろう。早く元の家に帰りなさい。」



その風貌に反して、この方はただ純粋に、

心配をして言ってくれていたようだ。


 改めて、龍が喋っているという事実に、ここが異世界なのだと実感する。

私は緊張感がありつつ、答える。


 ベル「実は私、、今日初めて魔法を使って、

ほうきで空を飛んだのですが、、、気がついたら、その、、この高さまで来てしまって、、」


 ベル「、、あの!どうやって帰ればいっ ―」


私が言葉を続けようとした時でした。


視界は、急に反転をしました。


高い高い空の上。


それはそれは綺麗に。


私は、真っ逆さまに落ちていくのでした ―。



         終わり。



、、、、、、、。










ベル「いやいやいやぁぁぁあああああーーーーーーーー!!!!!!!!」




終わってたまるか!!まだこの世界に来たばかりなんですけど!!なんかEND感出ちゃったけど!!


悲鳴をあげても、私が今、空を落ちているという

事実は変わらない。


龍と話している間、ほうきからの意識が逸れていた私は、魔力を込めることを忘れていたことに

今さら気がついた。


 今からでも間に合うかな!?

何とかして、魔力を込めようとするけれど、

気が動転していて、うまくいかない。


 ついにENDルートを覚悟しかけたその時 ー。


私の視界は真っ直ぐに戻り、空中でぴたっと止まる。

そして、暖かい温もりを背中から感じて。


先程の龍が助けてくれた!?と思ったのだけれど。


 よく見れば、黒く、赤い瞳の龍ではあるが、

先程よりも一回り小さな龍が、その背中に

私を乗せてくれていた。


とにかく助かったっ、、!!お礼を言わなけば!


 私は助けてくれたその龍にお礼を言おうと口を開くが、


ベル「あのっ!!助けてくれて本当にあり、、」

黒い龍「チッ、、、。」




チッ、、、?


舌打ち、、?



私が舌打ちを理解するより、早く。


ベル「って、、あれ??」


風の波が一瞬見えて、気が付くと。



私は、自分の家の庭へと戻っていた。

そして前方から、慌てて駆けてくるママの姿があり、私は思い切り抱きしめられる。

 


ママ「ベルちゃんっ!!!よかったっ!!一体どこまで飛んでいったの!?」


ベル「ママっ、、苦しい、、」


ママ「あっ、、ごめんなさい!!力つよかったかもっ、!」



ハッと、ママは落ちついて、抱きしめていた力を緩める。心配かけてごめんね、ママ。


 程なくして、晴れていた空は、雷を連れて、激しい雨模様へと変わった。

あの龍の長さんの予言が見事に的中したのだ。


 ひとまず、本格的な魔法練習は明日からにしよういうことになり。


 私の異世界生活一日目は終了したのだった。



なんかこれからもっと大変かも、、、。

なんて、不安になりながらも。


この日、ママの作ってくれた夕食のトマトパスタが美味しすぎる、、。

なんて、呑気に考えながら。。。

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