第1話《ベル》

第3話

第1話『ベル』 


 私とママは、それからも、しばらく会話を続けていた。ママが淹れてくれた、温かいハーブティーを飲みながら。

私もママもお互いに、知りたいことがたくさんあったから。 


 私は、ママの質問に答えつつ、自分の覚えている限りのことを話した上で、次は今の私、、

“ベル”について聞く。


ベル「ママから見て、、私、、ベルってどんな子だった?ごめんね、、なんか、変な質問しちゃって」


私は少し不安になりつつ、問いかける。


ママ「そんなことないわ。ママにたくさん教えてくれてありがとう。ベルちゃんはね、、」


ベル「うん、、、」


ママ「、、、ママからみれば、いつもと同じ、可愛いベルちゃんのままよ。今日は様子がなんだかいつもと違うと感じたくらいで。そうね、、

もし、ベルちゃんから告白をされなかったら、、」


ママ「、、、きっと何も気付けなかったかもしれないわ。」


 どんな答えが返ってくるのかと、緊張していた

私は、少しの安堵と、戸惑いの中で揺れていた。


ベル「、、!それって、あまり、いつものベルと変わらなかったってこと?」


ママ「そうね、、今、こうして話していても、ベルちゃんだな〜って思うわ。素直に言えば、実はママのことドッキリさせようとしてるのかしら?って勘違いしてしまうくらいには」


 どうやら、奇跡的に、、?なのか、向こうの世界から来た私と、今のベルは、ママからみれば、そこまでの違和感がないようだった。


 そう言われると、なんだか、少し嬉しい気がした。



 ところで、ママと会ったときから思っていたのだけどー。



        ママ、、、、。



   めちゃくちゃ、優しいのですが!

   めちゃ、可愛いのですが!

 私のことをめっちゃ、可愛がってくれるのですが!




 ママの姿は、私よりも少し濃いピンク色の髪で、瞳の色は私よりも深い藍色だった。

  


 ママは、とても優しくて、暖かくて。

彼女と話している時間は、とても心地よく感じていた。



   この世界に来たばかりなのに、

   とても居心地がいいのは何故だろう。


まだ考えなくてはならないことが、たくさんあるのに  ー。



 そして、ママはハッと、思い出したように、

話し始める。


ママ「そういえば、ベルちゃん、、!ママ、大切な話があったの。お、お、落ちついて聞いてほしいのだけれど、、。」


そう言った、ママの方が慌てている。

私もなんだか、心臓がばくばくしてきたぞ、、!

な、なんか嫌な予感がする、、!


ママ「さっき、一度、学校の話になったでしょ。」


ベル「、、!そういえば、、入学する予定の学校があったんだよね!?たしか、推薦がどうとかって、、」


 あの時、ママは、私に何か伝えようとしていたのをすっかり忘れていた。ごめん、ママ!


ママ「そう、、それでね、、ベルちゃんは

【王立クレアスカイ魔法学園】といってね、魔法学において、限られた優秀な人しか試験に合格できない学園の、”特待生”として選ばれたのよ!」


ベル「と、特待生!?」


それって、かなり凄いことだよね!?

え、、ちょっと待って、、。

そもそも、今の私って、、。


ママ「7日後、学園から迎えの者が、この家に来るって言っていたわ!あとベルちゃんは、、」



ママ「学園の特待生として、入学式の日に、

一年生代表スピーチと、魔法の発表をしてもらうって、、!」


 ママは、私に少し誇らしい顔で伝えてくれたのだけど、私はフリーズしてしまう。


 



私、この世界に来たばかりで、魔法も使ったことないんですけどっ、、!!!




ー。


 そして、私はママと共に初めての魔法を使う為に、家の外に出ることになった。


、、、その前に言わせてください。

この庭、めちゃくちゃ広いんですけど!?


 部屋の窓から見えた景色とは、また違っていて、今も、ほうきで空を飛ぶ人々がまばらに見えるが、この家の庭が、こんなに広いとは思わなかった。


ベル「ママ、この庭すごく広いね?びっくりしちゃったよ、、!」


ママ「うふふ。この庭は、ベルちゃんの為に、あえて広くしたのよ」


ベル「そうなの!?」


私の為、、?


ママ「ベルちゃんが思いっきり、魔法を使って、のびのびとこの場所で過ごせるようにってね」


 ママは、どこか懐かしむように、そして嬉しそうに私にそう言った。


 この草原に近い庭には、よく見れば、

魔法を使ったような跡がところどころにあった。


一部だけ焦げている箇所と、逆に草が天まで届きそうな長さにまで伸びている所。

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