第一章ー②

第2話

それから私は、自分が、この世界とは違う場所で生まれ、暮らしていたこと。起きたら、見知らぬ家で、違う人間として生きていること。


ママに、こと細かく、正直に話していた。

全てを信じてもらえなくてもいい。

ただ、自分自身、混乱していて、誰かに話を聞いてもらいたかったのもあるのかもしれない。


 それとも、最初に、この世界で話したのが、

彼女だったからだろうか。

私の口からは、思ったよりもどんどん言葉が

出てきていた。


 私の、とても長い話を静かに聞いてくれた彼女は、話を聞き終えると、私に問いかける。


ママ「なるほど、なるほど、、。

つまり、今のベルちゃんは、”日本“という国からやってきたベルちゃんで、、。この世界のように、魔法が存在しなかったと、、。そういえば、その日本での記憶はあるのかしら?」


ベル「うん、、。あるにはあるんだけど、、。」


 ちなみに、スレッドさん改め、“ママ”に、

敬語は使わないでほしい、できればいつものようにママと呼んでほしいとお願いされ、

私も、できるだけ、娘の”ベル“として、彼女に接するようにしている。


ベル「向こうの世界で、私は高校1年生だったの。えっと、、といっても、高校生にはなったばかりでね。」


ベル「ママ、この国って、学校とかあったりする?


ママ「ええ、いくつか学び舎はあるわ。

ベルちゃんも入学が決まっていた、

王立クレアスカイ魔法学園が一番有名かしら。」


ベル「、、!私が行こうとしていた学校があるの!?」 


ママ「ええ!ベルちゃんが、

推薦を受けていた学園よ。すごいのよ!ママも、学園から、その推薦入学のお知らせが来た時、嬉しくて嬉しくて、、だって、!」


この世界の、ベルは何歳だったんだろう。 

推薦を受けた、、?

待って、待って。この世界のこともいろいろ知りたいし、家族のことも、もちろん知りたいけれど、そもそも、、。


私、私=【ベル】の事を何も知らない!!


私の方が、ママに質問の暴走をしてしまいそうに

なるが、今はママの質問に答えていく。 


ベル「〜っ、、!ママ、あとで私についても、いろいろ教えてほしいけど、まずは私の覚えている限りのこと、話すね。」


私は再び、自分の記憶を辿って話し始める。


ベル「それで、向こうの世界で、学校に入学したばかりの私は、入学式が終わったその日、不思議な感覚がずっとしていてね。」


ママ「不思議な感覚、、?」


ベル「うん。最初は風邪かなって思ったんだ。

感覚的に、体温が高く感じてね。でも風邪ではないって思った。苦しさとか、痛みとかは全くなくて」


そう。今思えばあの日は、目覚めてからずっと

私は妙な感覚に包まれていた。


体はいつもより温かく、けれど風邪ではなくて。

やけに、周りの音が小さく聞こえるような。


ー。生まれてはじめて、世界に自分一人だけの

ような。


 うまくいえないけれど、これまで、日本で生きてきた15年間の中、あの日はじめて、何かにずっと

     “導かれているような”


そんな不思議な感覚を持ちながら、

私はその日の夜に、夢を見た。


 夢の中で、白髪(はくはつ)の髪の長い人がいた。

その人が私に何かを言っている。


 私にはその人が何を言っているのか、分からなかったのだけど。


     「、、??、?????、、」


     そして、冒頭に戻る。

日本にいた高校生になったばかりの15歳の少女。


   『森野 鈴』(もりの りん)は、


        【ベル】

   として、”異世界“へとやってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る