第78話
仕事の筋が決まっていれば、忙しくても時間の配分が出来るのはありがたい。
だから、今日はここまで進めておけば問題が起きても余裕を持って対処出来るところまでを目標に仕事を進められる。
「もう時間だ!」
最近、終業時間は猿谷の声が合図になりつつある。仕事が終わっていないときは、こちらに熱い視線をおくり助けてアピールをされるまでがセットだが。
もちろん、状況を見て本当にまずい時は手伝うが殆どは知らない振りをして帰宅準備をするのだが、猿谷はどんな時も遠慮はない。
「甘いもの食べたくないですか?」
猿谷にお疲れ様と挨拶をしようと目が合うと手伝って欲しいと甘い誘惑をしてくるのだ。
――これを断るのも疲れるんだよね。
コンビニの新作デザートが出ていたなどと擽ってくるが、約束があるとキッパリ断ろうと口を開くと志帆の声が遮る。
「駄目よ猿谷君。今日は私と約束してるんだから」
「それじゃ、志帆ちゃんも一緒に残業して帰りにご飯食べて帰ろうよ」
まさかの切り返しに志帆の顔が歪む。仕事中に我慢しているストレスを見事に刺激したのだろう。
それでもヘラヘラとしていられる猿谷に溜息しか出ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます