第79話

「バカ猿。お前の仕事を手伝って食事まで一緒なんて、迷惑通り越して拷問以外にないだろう」


「いつもピーチクうるせえよ。スワンのことは誘ってねえから」


「ハッ! 白鳥の鳴き声はクッカッキョックウェ~だ」



――子供か? ここは動物園か?!


 ほっといて帰ろうと志帆に目配せしていると、犬神が止めにやってくる。



「また騒いでんのかお前ら……残業は俺が手伝ってやるし、夜飯も俺の家で食べさせてやる。どうせ猿谷は帰っても一人だろう? 生のエリザベートに会わせてやるぞ。なんだったら白鳥も来るか?」


「僕は結構です。サブ……文鳥が待ってますからお先に失礼します」



 間髪入れずに白鳥は犬神の誘いをキッパリと断るが、猿谷は逃げるにも仕事が残っているので誘いを受けるほかない。


――猿ちゃんは犬神さん家にお泊りコースだな。


 助けてくれと無言の叫びが聞こえていたが、三人揃って「お疲れ様」とオフィスを後にした。

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