第72話
――彼女がいたことあるんだ?
だが一番驚いていたのは猿谷でブツブツと「嘘だろ」を繰り返す。
「バカ猿が失礼だぞ。僕は結構モテる」
――文鳥にだよね?
消化できない情報を抱え、心のなかでおかしなツッコミを入れ、珍獣でも見つけたかのような視線を向けていたことに白鳥が不服そうな表情で私を睨む。
「疑ってるんですか? 別にいいですけど……これ、どうぞ」
デザートに付いていたプリンを私のトレーに置いて、無言で目を瞬く私に溜息を吐き、また黙々とご飯を食べ進める。
「あっ、ありがとう……」
私だけでなく全員が白鳥の意外すぎる発言に、困惑した表情を浮かべている。
――もう、何も言うまい。
別れ話をしなくて済んだし、白鳥から慰めのプリンも頂戴したのだから。
猿谷が「俺は信じない……」と吐き捨てるように言うと、残っているご飯をかっこむ。
分からなくはないと苦笑いを浮かべながら静かに残りの昼食に集中した。
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