「理由はどうであれ別れちゃったなら、遊びに誘ってもOKってことですよね？」

「猿谷は桃屋なんかを狙ってたのか？」

　全員がぽかんとしているなか犬神だけが笑いながら猿谷に話す。

　たぶん学生の頃ならキャッキャッと喜んで顔の一つも赤くして可愛い反応を見せられたと思う。

――軽いなサルちゃん！　あと犬神さん。桃屋なんかは普通に失礼だから！

　元気になるように気を使ってくれたのだろうが、この程度の感想しか浮かばない。

「フッ、低能。本当にサルだな……」

　隣からなんとも冷たい言葉が聞こえ横を向くと、白鳥が猿谷を嘲笑っていた。

　頭のなかで試合開始のゴングが鳴らされ、予想通りの流れで喧嘩が始まる。

「スワン君はチキンだから女を誘ったことも無いだろう？」

「女性の一人や二人、誘ったことぐらいある」

　止めに入ろうとするが、またも意外な白鳥の発言に目を丸くして凝視してしまう。

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