第67話

なにか文句を言いたそうだったが、犬神に渡された食券を渋々と言った様子で受け取りお礼を言う。


――せめて喜んで見せろスワン君!扱いが難しいな。


 肩を落として受け取った食券を持ってさっさと食事を取りに行ってしまった白鳥の背中を見ていると、犬神が後ろで笑って私にも食券を渡してくれる。



「ククッ、鳥のお供はまだまだ扱いにくいな。頑張れよ~」


「はい……」



 私だってそんなに人付き合いが得意な方では無い。ただ、仕事をする上でどうしたってある程度、人とのコミュニケーションは必須だと思う。


――人付き合いも仕事だと言うべきだろうか?


 やっと仕事以外にもプライベートなことを話せるようになってきたところだ。


 極端な白鳥にそんなことを言ったらプライベートな話は駄目だったのかと、落ち込んでまた距離を取るに決まっている。



「実、考えこまない! ほら、お昼食べる時間なくなっちゃうよ」


「そうそう、スワンのことは気にすることないって! あれは特殊な生き物なんだよ」



 志帆と猿谷に励まされ、トレーを持って定食の料理を取りに向かった。

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