記録

第57話

シャワーを浴び終わり洗面所の鏡に映る自分に溜息を吐いた。



「ブラッシングで仲良くなれると思ったんだけどな……あからさまに拒否されると堪えるな」



 どう接して上げるのが一番いいのか、未知の生き物すぎて正直分からない。


 小説や映画からの先入観に私もまだ警戒している部分があるのだから、銀の反応は当然かもしれない。


――いつになったらお腹を見せてくれるかな?


 直接、銀に聞けば良いのかもしれないが態度だけでなく言葉で拒否されてしまったら踏み込むのが難しくなる。


 それに、出て行くなんて言われたらもう止められないだろうし。



「ゆっくり距離を縮めていくしかないか」



 風呂から上がり脱いだ下着だけを持って脱衣所から出て、リビングに居る銀の様子を窺うと人の姿になりストレッチしていた。


――リラックスもしてないか。


 肩を落としお風呂から上がったと銀に声をかけてそのまま部屋に向かう。


 クローゼットから洗濯する下着をいれている籠を出して投げ込む。


 流石に下着を銀に洗ってもらうのは嫌だという羞恥心は持っている。



「今日の記録を書いちゃお」



 机の椅子に座ると引き出しからノートを取り出して広げた。

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