第46話

スーパーの中を一回りして、お菓子売り場で実の勤める会社スウィートドリームが作っているものを探す。



「どれだろうな……」



 普段はお菓子など買って食べようなどと思ったこともない。棚には予想以上に沢山のお菓子が並んでいて会社名が分かっていても探し出せない。


 棚前にしゃがみこんで下の段を見ていると、小さな女の子に声を掛けられる。



「お兄さん。なにをお探しなの?」



 女の子を見るとモジモジと恥ずかしそうに顔を赤くして立っていた。


 俺から漏れるフェロモンに寄ってきてしまったようで、心の中で苦笑いをしながら名刺を見せながら優しく話しかける。



「スウィートドリームっていう会社のお菓子を探してるんだ。知ってる?」



 小さな子に会社名でお菓子を探せと言うのは流石に無理かと思われたが、女の子はすぐにお菓子を手に取って渡してきた。



「これと、これ……あと、これも! このマークがあるお菓子よ」



 棚をちょこちょこと動いてお菓子を俺に渡してくる。どうやら名刺に書いてある会社のロゴマークで分かったようだ。


 また一つお菓子を持ってきた女の子を止めて頭をなでてお礼を言うと、顔を赤らめて走って行ってしまう。


 渡されたお菓子はチョコレートが使われているものばかりで、パッケージの販売者を見るとスウィートドリームと書いてある。



「これが実の作ってる菓子か……結構、有名な会社みたいだな」



 折角あんな小さな女の子が一生懸命持って来てくれたので一つぐらいは買って帰ろうとレジに向かう。


 スーパーでの買い物を済ませ最初の八百屋から魚屋、肉屋とまわって買い物をすると、色々とサービスしてもらう。


 気づけば大きな袋を両手に二つぶら下げていた。


 無駄にフェロモンも使わずこんなに買い物出来たことに満足し、首に財布を下げて軽い足取りでマンションに帰った。

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