第44話
「これ、使えるかも?」
尻尾をパタパタと動かし、試しにテレビに背を向けて尻尾で払ってみると静電気で尻尾にうっすらと埃が付いた。
ー―この位なら後で尻尾をベランダで振れば問題ないだろ。
ついでにと高い位置は自分の手を獣のものに変化させ爪を立てないように手を這わせる。
「掃除ちゃんとしてないな……」
小姑のような呟きをこぼし、言葉通り自分の体を使って掃除をすすめる。
あらかた部屋の埃を取りベランダで布団に埃が付かないように風向きを考えて尻尾と手の毛を震わせた。
そのあと掃除機を部屋全体にかけ終えると洗濯が終わったブザー音が聞こえる。
「洗濯干したら昼飯食って買い物に行くか」
鼻歌交じりに家事をこなし、テレビを点けてのんびりと昼食を食べる。
世の人間はなんていい暮らしをしているのだろかと息を吐く。
好きでもない女に愛想を振りまいて、毎日心をすり減らして腹を膨らませていた生活が遠く感じてしまう。
買い物に出る頃にはダサいと言っていた実お手製の財布を首から掛けて出かけるほど気が抜け浮かれていた。
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