記録

第37話

――銀が寝静まった頃。


 暗闇のなか実はそっと音を立てず高い棚の上に銀が置いたノートを狙う。



「ダミーのノートを置いておけば気づいても大丈夫」



 椅子を使いノートを取り替えた実はソファーで気持ちよさそうに狼の姿で眠る銀を見て悶える。


――可愛い! 触りたいけど我慢。


 首を振って触りたい衝動を抑えると、椅子をそっと戻し自室に忍び足で戻って行く。


 静かにドアを閉めて机の上にあった裁縫箱を隅に移動させノートを開く。


 椅子に座って早速、続きを書きはじめた。





 書き終ると顔を緩ませ机の引き出しにノートをしまうと、ベッドにもぐりこんだ。



「明日が楽しみだな」



 クスクスと笑いながら瞼を閉じた。

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