第34話
「嫌だ! 話が別だ」
「駄目か……つまんない。銀、コーヒー」
テーブルに置いた本を取り、ソファーで体勢を崩してまた読み始める。
――ノートを取り返すための策略だったのか?!
なんだか掴めない実を驚きの目で見ていると「コーヒー」と急かされる。
「いらないんじゃないのかよ!」
「気が変わったの。ブラックでいいから」
立ち上がらない俺のお尻を足でグイグイ押して早くしろと急かされる。女にこんな足蹴にされたことは今までない。
渋々、腰を上げて目を細めてじっくりと実を見るが、やっぱりただの小さな人間の女。
「人の世に紛れた妖怪だとでも言われた方がよっぽど納得するんだけどな……」
「ぶつぶつ言ってないで早く!」
――苦いコーヒーを淹れてやろう
小さな仕返しを思いつき、渋い顔をする実を想像しながら珈琲をクツクツと笑いながら淹れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます