第27話
「狼男の飼い方?」
表紙の文字に愕然としながら、俺は直ぐにノートを手に取りページをめくる。
まだ1日経ったかどうかと言うのに、つらつらと文は続いていた。
読む限りでは、実の中で俺の位置付けはペットより少し上だと信じたい。
「こんなもん書きやがって……」
俺が細心の注意を図って正体を隠しているのに記録として残されたら困る。しかも飼い方ってのが気に入らない。
震える手でノートを持つとノックなしに実の部屋のドアを開ける。
携帯電話でぼそぼそと話しながら泣いている姿が目に入り、すぐに開けたドアを閉めた。
「別れたのがやっぱりショックだったのか?」
関係なくても泣いている実に文句を言うのは、もう少し後でもいいかと頭を掻きながらリビングに戻ろうとすると実の部屋のドアが開く。
「ノックなしでドア開けないで! 今度やったら殴るから!」
そう怒鳴るとすぐにドアが勢いよく閉められた。唖然として目を瞬いて、しばらく閉まったドアを見つめる。
泣いていたのがバレバレの赤い目元に鼻声で怒鳴り虚勢を張る姿に思わず笑ってしまう。
「実の飼い方って俺も書こうかな」
小さくて一見可愛く見えるが、口が悪くて気が強い。スタンガンを所持。凶暴につき取扱い注意ってとこだろうか。
一人で笑いながらリビングに戻り冷蔵庫の中身を確認する。
「今日の晩御飯は何にしよう?」
関係ないけど、失恋した女に優しいメニューにでもしようかな。
背中を揺らしクツクツと笑いをもらしながらキッチンに向かった。
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