第25話
「銀、背中見せて! それ脱いで」
ソファーから飛び降りてどこからか救急箱を持ってきて、酷く焦った顔で言われるが、静かにさせる為に痛いと言っただけでまったくの無傷。
「早く! 脱いでってば」
「いいよ。あんなの痣にもならない」
実のスタンガンとあの男のパンチ。どっちが、威力があると思っているのだろう。
今にも泣きだしそうな顔で見つめるので仕方なく上着を脱いで背中を見せる。
「ほら、平気だろ?」
「うん綺麗。銀ってさ、絶滅危惧種でしょう? 病気とか怪我した時、病院はどうするの?」
「はっ?!」
突然何を言いだしたんだ? 絶滅危惧種? 病気? 怪我? 病院? 疑問しかわかず、どこから聞けばいいのかも分からない。
困惑してる俺を見ている実の顔を真剣そのもので、余計に戸惑ってしまう。
「基本、丈夫だから! もし、病気になってもほっといていいし……」
「死にそうになってても? 小説とかで妖怪とか病気になると対処法に困るとかってよくあるし……動物病院か人の病院かくらいは聞いとかないと、もしものとき困るからさ」
「なんだよ妖怪って……どの病院でも困るの! ほっといていいんだよ!」
強めに言えば実はしょんぼりと向きを変えて棚に救急箱を戻し、引出から何かを取り出してゴソゴソしている。
――まさか怒ってスタンガン
慌てて上着を着て身構えるが、振り返った実はケロッとして、手にはノートとペンを持っていた。
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