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第22話
大きな荷物を背負ったまま、外で時間を潰す気にもなれず真っ直ぐマンションに戻る。
買い物に行くようなことを言っていたし、誰もいないだろう。だが、いざドアを前にするとまた悩む。
インターフォンを押すべきか、勝手に鍵を開けて入るか迷っているとドア越しに怒鳴り声が響く。
「居るのか?」
ドアノブを回すとすんなりとドアは開き、実の声ともう一人知らない男の声が聞こえる。
「許してやるって言ってんだよ!」
「馬鹿なこと言ってないで、そのゴミ持ってさっさと出てけ!」
玄関から延びる廊下の突き当たりにあるリビングには見知らぬ男とソファーの上に仁王立ちした実の姿が見える。
聞こえた会話から察するに、男は実の元彼だろう。すでに、修羅場になっている場所に俺が入っていったらもっと酷いことになりそうだ。
喧嘩に夢中で俺に気づいてないうちにと、そっと踵を返す。だが、背中に背負った大きな荷物が下駄箱の取っ手に引っ掛かり大きな音を立てる。
「誰だあいつ?」
「あっ、銀!」
リビングから注がれる視線に、苦笑いを浮かべ振り返る。
「……ただいま」
男の片眉が吊り上って行くのが分かった。部屋を間違えたと出て行くのも、名前を呼ばれただいまと挨拶してしまった後には無理と言うもの。
リュックを置いて靴を脱いで中に入ったものの、どうしていいのか分からずリビング入口で立ち尽くしていると男が鼻で笑う。
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