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第11話

――なんだったんだ


 狼男を怖がらない人間なんて、そういないと思う。そもそも、実は人間なのか?


 抱きついてきたときの、あの甘い香りも初めて嗅いだ。内側から俺のなにかが破壊されそうな危険な香りだった。



「それに、人間の姿にまったく興味がなさそうなのも不思議なんだよな……」



 コンビニに向かう道ですれ違う女達がチラチラと俺を見ているのが分かる。


 人間の俺は、かなり恵まれた容姿だと思う。それに特殊なフェロモンみたいなものが出ているらしく、嗅覚からも女を魅了するはずなんだけどな。


 色々考えているうちにコンビニを見つけて入ると、言われた食パンを探す。



「余ったお金は好きな物買って良いんだよな……」



 食パンを片手におつまみが置いてある棚で大好きなビーフジャーキーと俺が食ってしまった魚肉ソーセージを取りレジに向かう。


 もちろん、会計は五百円を超えるのは分かっていたが、レジに立っていたのが女だったので気にしない。


 ポケットから五百円玉を一枚出してレジの女にほほ笑む。



「ごめん。お金足りないみたいだ」


「えっ? そんな困りますよ!」



 俺は意識を集中してレジの女を見つめると女の目がトロンとしてくる。

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