第9話
テーブルに空のカップを置くと、実も手に持っていたスタンガンを置いた。
「無理強いはしないけど、昨日のご飯代ぐらいは働いて帰ってもいいんじゃない?」
「その……どうやって?」
恐々と探るように聞くと、実が財布を取り出して中から五百円玉を出してテーブルに置く。
「腹ペコ狼に全部食べられて、昨日の夜から何も食べてないの。コンビニで四枚切りの食パン買ってきて」
「お使い?」
「そうだよ。お腹ペコペコなの早く行って来て。余ったお金は好きな物買っていいから」
五百円をズボンのポケットに入れて上着を着ようとすると実に止められる。
やっぱり気が変わったのかと実の顔を見ると、先ほどとは違い恥ずかしそうにもじもじ話す。
「行く前に、もう一つお願いがあるんだけど……」
「なに?」
「もう一回、変身して」
また俺の予想は外れた。まったく意味は分からないが別に大変な願いでもないしと、立ち上がって獣人の姿になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます