第8話
「行き倒れてるくらいだからお金が無いのは分かってるよ。だから、家賃は体で払ってくれればいいよ」
なんだ。やっぱりそう言うことか。今までも俺を囲いたいと言ってきた女は沢山いた。
こんな男に免疫なさそうな感じの女でも、考えていることは同じか。
理由は人によって違うが大体は寂しさを他人の体で慰めてもらう。
一瞬でも狼男の俺を受け入れてくれたのかと勘違いするところだった。
俺は一息付いて上着を脱ぐ。さっさと満足させて寝ている間にでも出て行こうと、実に近付いた。
「分かった。飯代ぐらいは払うよ」
座ったままポカンと口を開けて俺を見つめる実の肩に両手を伸ばす。
――ビリビリ
先ほど感じた痛みよりも人の肌で感じる痛みは尋常じゃない。しかも素肌。
「きゃふん!!」
変な悲鳴を上げてその場から飛びのいた。そんな俺を、スタンガンをスパークさせながら睨んでいる。
実の可愛らしい容姿からは想像できないほで、厳しくて冷たい目はスタンガンより怖い。
「ねぇ、何しようとしたの?」
「何って……だから体で払うって……その」
「次やったら、失神するまで電気流すから」
「ごめんなさい」
床に落ちていた上着をそそくさと拾って席に戻る。なんだか気まずくて、残っていた珈琲を一気に飲んだ。
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