第6話

――びりっ!!



「きゅん!」



 お腹に電気が走り思わず尻尾を股に挟んで飛びのく。女を見ると手にはパチパチと電気音を鳴らせるスタンガンを持っていた。



「私のこと食べるつもり? 人間を食べたりするの? どうなの?」



 立ち上がると、スタンガンを俺に向けながら臆することなく近づいてくる。


 別段スタンガンくらいでは気絶も死ぬこともないが痛いし、なによりもこの女の雰囲気が一番怖い。


 俺は大きな手を前にだして女の進行を必死に止めた。



「人間なんて食べない! ただ……」


「ただなに? 食べないけど殺すの?」



 スタンガンの先をスパークさせて俺を脅すように向けるので慌てて答える。



「ち、違う! ただ、正体がばれると厄介なんだ……」



 狼男などと正体がばれたら生きていけない。研究機関に送られて実験動物になるのが落ちだろう。もしかしたら、殺処分され解剖


――考えるだけで恐ろしい。


 女は首を傾げて耳を垂らして頭を抱える俺を不思議そうに見て笑う。


 向けていたスタンガンも下におろし腹を抱えて本格的に笑いはじめる。



「ははっ、変な狼男! 私を黙らせればそれで終わりなのに……ふふっ、まぁいいや。ちょっと話をしよう」



 笑いながら椅子に戻ると俺に向かいの席を進める。人の姿に戻りながらもといた席に座った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る