十六夜
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第4話
珈琲の匂いに目を覚ます。毛布が掛けられ暖房のかかった暖かい部屋の気持ちよさに、もう一度目をつぶりそうになったが昨日のことを思い出して飛び起きた。
「おはよう」
ダイニングテーブルで、昨日の女がスウェット姿で珈琲に口を付けながら挨拶する。
俺は頭をぼりぼりと掻きながら向かいの席に座った。
「コーヒー飲む?」
「あぁ」
変な女。名前も知らない男に飯を食べさせて、家に泊めるとか正気の沙汰とは思えないな。
珈琲を入れる小さな背中を見ていると心配になってくる。
「はい、どうぞ」
お礼を言って前に置かれた珈琲を口に運ぶ。その様子を食い入るように前で見ているのが気になり、少し横を向いて一口喉に流し込む。
「猫ではないのね……」
女のつぶやきに咳込んでカップをテーブルにドンと勢いよく戻し、今度は俺が食い入るように女を見た。
同族? ハンター? 研究者?
どれだろうと力づくで逃げ切れる。だが、この女からそんな匂いがしない。神経質になり過ぎているのだろうか。
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