第11話

――さっきより断然よさそうだけど



 重かったり熱かったりで体が動かないようなことはないが、何か違和感だけは残ったままだ。




「なんか、体の中がムズムズする」



「あぁ、それは……」



「右京! 久しいな!」




 話している途中で空から太い声が降ってきた。空を見上げると強面で右京よりも三倍位は体が大きそうな烏天狗の乾の姿があった。



 地面に降り立つと、ぐったりとした烏を小脇に抱えているのが見え、慌てて声をかける。




「そうだ! 他の烏達が吹き飛ばされて……そいつ大丈夫なのか?!」




 乾の小脇に抱えられた烏はピクリとも動かず、生きているのかも分からない。



 右京なんぞに文句を言うよりも、吹き飛ばされた烏達のことを言わなきゃならなかったのに。



 反省するように嘴を下げ項垂れていると、乾の大きな手が頭を撫でる。




「生命には障りはないが、この汚れた気を浄化しきれず他の烏達も参っている。力をかいてもらいたい」




 そう言って頭を下げる乾を渋い表情で見つめる右京に不安を覚える。



――まさか断ったりしないよな?!



 無言の時間に流れる緊張感をかき回すように二人の表情を伺いながら嘴を左右に忙しなく動かす。



 いつまでも答えない右京に痺れを切らして俺が嘴を開こうとすると、きゅっと抓まれ右京が話し出す。

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