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第10話

喉が渇いて体は燃えるように熱い。体の中を炎の塊が這いずりまわっているみたいだ。



 小陽の病を運んだ時のことを思い出し、苦しくも懐かしい気分――




「おい! ……らす……烏!」




 折角、いい気分になりかけてきたのに嫌な声が俺を煩く呼んでいる。



 このまま無視したいけど、喉も乾いているしな――




「冷たい!!」




 起きようか迷っている間に、痺れを切らした声の主に水をぶっ掛けられ、悲鳴と共にすぐさま目を開く。




「やっと起きたか」



「お、起こし方をもっと考えろよ右京!」



「うわ言で水が欲しいと言うから親切にかけてやったのさ」




 喉が渇いていたので無意識に言葉に出ていたのかもしれないが、眠っている相手に水をかけるのは親切とは言わない。



 腹を立てながら起き上がり、水の滴る体を勢い良く震わせる。



 仕返しに右京に水を飛ばしてやろうと更に体を震わせようとすると、フッと右京に息を吹きかけられ強めの風が俺の体ごと吹き飛ばし尻もちをつく。



 右京は何もかも見透かしたように俺を見てをニヤリと笑う。




「それはそうと、体の具合はどうだい?」




 羽根の間に入った空気を出すように体を振るってから首をかしげる。



 羽を動かしその場でピョンピョンと跳ね回りながら、体の様子を確かめる。

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