第8話

私と雪絵はそんな村田君の知りたくも無かった本性を知ってしまい、それからは周りの女子に見せる優しさの欠片もみせない。





「大志は何に出るか決めた?」





 雪絵の隣に座る川村 兼[カワムラ ケン]君は村田くんと同じサッカー部で二人は幼なじみ。



 兼君は村田君とは違い穏やかでいて優しい。いつも性格の悪い村田君を兄のように影でフォローしている。





「俺はクラス対抗リレーしかないだろ!」



「でもリレーはタイムで決めるって言ってなかった?」





 立候補ではないのを村田君に話すとまた、馬鹿にしたように鼻で笑われる。





「だから、俺は決まってるんだろ」





 胸を張って自信満々の様子に苦笑いを浮かべるしかない。



 リレーは体育の授業で計ったタイムをもとに選出されるようで、実行委員が黒板に紙を見ながら名前を書き出していた。





「村田君の名前はないけど、兼君の名前があるよ」



「えっ、ウソ?!」





 黒板を指差して雪絵が教えると、兼君は驚き「まいったな」と困った表情を見せる。



 その横では予想通りというかプライドの塊のような村田君が机を叩いて立ち上がった。

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