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第7話
健康になって学校に通いだした頃は苦労することもあったが、今ではだいぶ落ち着いてきた。
なんとか進級することもでき自分で言うのもなんだが、だいぶ心身共に逞しくなった気がする。
「小陽ちゃんはどれにする?」
「綱引きかな。走るの遅いし」
黒板に書かれた体育祭の種目を眺めていると、前の席に座るメガネをかけた女の子が振り返る。
私が学校に戻ってから仲良くなった川島 雪絵[カワシマ ユキエ]。
手芸部で手先が器用な雪絵だが、私と同じで運動は苦手なのだ。
「私も走るの苦手だから小陽ちゃんと一緒の綱引きにしよ」
元気になって体力も戻ってきたのだが、人間にはもともと向き不向きがあるようで体力の問題では無かった運動神経。
病気になる前からそれほど運動は得意では無かったのだから、当然とも言える。
「フッ、地味なお前らにはお似合いの競技だな」
隣の席から私達をバカにする声がする。サッカー部で女子に人気の村田 大志[ムラタ タイシ]だ。
男子にしては小柄で可愛い見た目を惜しげも無く利用して猫を被っている。
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